川と機械と僕
Norider77
第1話 川で機械を待つ僕
なぜ桃は“どんぶらこ”と流れてくるのだろう。
“ぷかぷか”だと軽すぎるし、“ゆらゆら”でもないんだよな。そんなことを考えながら、桃ほどの大きさをした機械を手に取った。水滴を丁寧に拭き取り、そっと段ボールの中にしまう。この動作は数年の月日を経て、無意識に行えるようになっていた。だからこそ、いろいろと考えを巡らせることができる。
川にはどちらかというと“ぷかぷか”という感じで機械が浮かんでは、左から右へとゆっくり流れていた。その中から直せそうな機械を選び出して、持ち帰る。修理して売り出すことによって生計を立てている僕たちにとっては、機械はガラクタではなかった。宝とまではいかないものの、なくてはならないものであった。友人がこの川をまるで星が天の川を彩るような光景に例えていたが、正直なところあまり共感はできない。
ダンボール一杯の機械を取り終えて、村に帰る頃には日が沈みかけていた。同じ歳ほどの若者が、日陰に機械を並べて乾燥させている。それぞれ家訓で、受け継がれている機械の修理方法に違いがあるため、自然と扱う機械は家によってばらばらだ。遠目から見るといろんな種類の機械が置いてあって楽しい。
川と機械と僕 Norider77 @Rever_Stream
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