ランナー02 やっと一人前の使い走り
当然ながら、突然使い走りとして現れた若い男、本来ならEランクの四人に交じって、Dランクの先輩たちやリーダーに従いながら経験を積み、上のランクを目指すくらいの年頃でありながら、引退間際か引退した探索者のように覇気もなくおとなしく使い走りに甘んじている様子に、反発も生じる。
ギルドへの報告書も、新米同士で組んでいたFランクのパーティとBランクのパーティでは要求される内容が全然違う。信頼できる情報には価値があり、詳細かつ正確であれば、ある程良い。
マップ、トラップの位置や種類。出現する魔物の種別や数。ギルドで習った描き方、決まった記号・略号で書くことで、同じギルド所属の他のパーティにはより分かりやすくなり、拾ったり盗んだりした地図や情報には、解読の手間がかかる分だけ、実用性からは遠のくことになる。
その情報が他のパーティに買われれば、ギルド経由で使用料が入って来る。最新情報は常に売れるので、迷宮や荒野から戻るとできるだけ早く、できるだけ正確に提出した方がギルドに(ギルドから買う他のパーティにも)喜ばれる。
マップの描き方は見よう見まねで何とかなったが、書類の書き方は難しかった。
読み書きがかろうじて出来る程度だったゴンザレスが、ツィオンとマールの二人がかりで教わり、書式に合わせて、正しい用語や記号で正しく書けるようになるまで三ヶ月近くかかった。
今では、ツィオンは口述するだけで、作成はゴンザレス任せ。ギルド提出前に、マールが最終確認するだけだ。
それだけ、信頼されるレベルの冒険者になったと言うことでもある。
使い走り《ランナー》の仕事は、何とかなるようになった。後は、ゴンザレスが今後どうするのか、自分自身のリスタートをどう始めるのかの問題だ。
それこそが、大問題な訳だが……。
ランナー・オブ・ケルベロス 大黒天半太 @count_otacken
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
黒歴史とは/大黒天半太
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます