ランナー01 『ケルベロス』の使い走り
『トライホーン』の葬儀と遺品の整理は、ツィオン達の力を借りて、ゴンザレス一人で済ませた。
数少ない遺族に、遺品と僅かな分配金を引渡し、残った物は売却して清算する。ギルドやら酒場や武器屋・道具屋への支払いで、ほぼ消える。ゴンザレスの手元に残った金では、武器を買い換えることも出来ない。
ツィオンのチーム『ケルベロス』は
少し前に、『トライホーン』のリーダーだったジョシュアに連れられて、訪れたことがある。格上のチームの訓練を見学させてもらい、実際、ツィオンから槍術の手ほどきも受けた。こんな形でまた訪れることになるとは、ゴンザレスも思ってはいなかったが。
チーム『ケルベロス』は、Aランク
上位の少数精鋭だけのパーティでの冒険は少なく、トップ三人がそれぞれリーダーとなってパーティを三組作って、探索に出ることもあるし、下位のメンバーだけで、浅い階層へ挑むこともあるのだと言う。
個室は一階に十六、二階に八あり、二階の方が広いので、Dランク以下が一階、Cランク以上が二階に部屋を持っている。入って直ぐの新米にも、狭いが個室があるのは珍しい。食堂兼会議室兼娯楽室と台所が、一階にあり、二階には、応接室兼ツィオンの書斎がある。残りの空いた個室は、倉庫や作業部屋に当てられている。
ゴンサレスは、一階の一室を与えられた。
形の上では、ゴンザレスは、ツィオンのパーティに参加して、トライホーンの遺体と遺品を回収したことになったので、ギルドへの貢献度を含めて、Dランクに上がってはいるが、今のゴンザレスは、自分が、
小さなパーティでは、それぞれが各自でやっていた日常業務を、大きなパーティになると、一人がまとめて担当する。
ハウスに戻ったメンバーの武器や防具を点検し、自分で修理できるか専門職に修理を依頼すべきかを判断する。荒野や迷宮で使う道具や消耗品の、在庫確認と補充も。まとめて頼んで安くしてもらうよう交渉するか、高くついてもすぐに修理依頼や補充が必要かの判断も、必要になって来る。
最初の半月で、商品やサービスの相場や値切り交渉を学び、魔法の武器防具以外なら大抵の道具は、修理もしくは応急処置が出来るようになった。
自分の革の盾は、自力でなんとか使えるように修理した。折れた片手剣はそのまま研いで鍔も鞘も作り直し、鉈かナイフのように使えるようにした。折れた槍の穂先も回収していたが、刃毀れと歪みで修理はできなかった。
槍士なり戦士なりでやり直すにしても、
ハウスの共用部分や外回りの掃除、食料の買い出しもある。夕食は各自バラバラなことが多いが、朝食はハウスに居ればみんな食べるし、訓練や打合せの日は、昼食や夕食まで一緒のこともある。
調理は当番制だが、早起きが苦手な者や料理が不得意な者に頼まれて、代わることも多い。洗濯は各自でやるが、ゴミ出しもあるので、各々の部屋の掃除は頼まれれば、ついでにやる。個別に頼まれた調理や掃除は、その分チームの
突然
ギルドへの報告書も、新米同士で組んでいたFランクのパーティとBランクのパーティでは要求される
マップ、トラップの位置や種類。出現する魔物の種別や数。その情報が、他のパーティに買われれば、ギルド経由で使用料が入って来る。
最新情報は、常に売れるので、迷宮や荒野から戻ると、できるだけ早く提出した方が、ギルドに(ギルドから買う他のパーティにも)喜ばれる。
マップの描き方は、見よう見まねで何とかなったが、書類の書き方は難しかった。読み書きがかろうじて出来る程度だったゴンザレスが、ツィオンとマールの二人がかりで教わり、書式に合わせて、正しい用語や記号で正しく書けるようになるまで、半年近くかかった。
今では、ツィオンは、口述するだけで、作成はゴンザレス任せ、ギルド提出前にマールが最終確認するだけだ。
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