あー、こんな朝ごはんだったら、毎日飛び起きてモリモリ食べるんだけどなー。
うちはとはつん
あー、こんな朝ごはんだったら毎日飛び起きて、モリモリ食べるんだけどなー。
彼は急に仕事が暇になってしまい。
休日も増えた。
まあ今のこんな状況じゃ仕方ないって思うし、落ち込んでても仕様がないぞって元気づけてあげる。
彼が私の部屋に来て、一緒に春限定のお酒を飲んで、彼の話を聞いてあげて、その百倍くらい私の話を聞いてもらう。
私の話を真剣に聞いてうなずいてくれたり、呆れて微笑んでくれたりする。
すると私はとっても嬉しくなって、今日私に起きたことを全部話したくなっちゃう。
彼のことを元気づける何て言ったけど、私の方が慰められてるかも。
最初は小さなガラステーブル越しに話していたけど、いつの間にか彼の隣に座っていて、酔ったかもって言って、彼の肩に寄りかかっちゃう。
話しながら彼の右手を取って、ほら私の手がすっぽり入っちゃうとか言って、触りまくってる。
彼の手はおっきくて、指も長くて、節とかゴツンとしてすべすべ。
水球だったっけ、そんなのを彼は昔やっていた気がする、今もやっているのかな?
シャリアロッテさん飲み過ぎですよって、彼が困った顔をしていた。
うんうんいいねっ、その困った顔。
昔と変わらないねっ。
とっても小さい頃は、しゃりねえちゃーんとか言って、私にしがみついて良く泣いてたなー。
すっごい体が弱かったからね、だから水球とかやらされてたんだっけ?
もうお酒が回って、わっかんないや。
最初はとっても小っちゃくって、ジャイアントスイングとかしてあげてたけど、いつの間にかおっきくなって、私が見上げる側になっちゃった。
うん、悪い気分じゃない。
むしろとっても良い。
横目でチラリと見ると、彼は顔が真っ赤だった。
お酒のせい?
それだけじゃないと良いなー。
私は彼の隣で、ゆっくりと深呼吸をする。
すると彼の森林のような匂いと、柔軟剤の香りがした。
その後のことは、あんまり記憶に無いなー。
朝起きたら、彼はもう起きていてキッチンにいた。
なになに?
何してんの?
えっ、元気づけてくれたお礼だって?
ふーん、へー、そういう事できるようになったんだ。
私は毛布にくるまりながら、床に落ちている下着へ手を伸ばす。
*
ああっ、こんなにワカメの味噌スープが、美味しかったなんて知らなかったっ。
これはしっかりと出汁を取っているからかな?
アゴだし? そんなの私の部屋にあったっけ?
え、朝いってコンビニで買って来たの?
なるほどねー。
目玉焼きも、しっとり形が崩れないぐらいの半熟で美味しいっ。
黄身が、クリームみたいになってる。
私がやったらこんなに、絶妙な焼き加減なんてできないよ本当に。
卵かけごはん専用醬油をかけて、黄身のところをパクリっ。
そして炊き立てのご飯を一口。
もぐもぐごっくん。
もぐもぐしながら、鼻から息が漏れちゃうよ。
ふううう、おいしいいいー。
え? 何でそんな風に、美味しそうに食べれるかだって?
ただ味噌スープと目玉焼きを、作っただけなのにって?
いやいや私には、こんな上手く作れないからっ。
味噌スープだって、こんな本格的に出汁をとったことなんてないし、目玉焼きだっていつもカタカタだし。
適当に作ったって言うけど、これは中々できないよー。
ほんとほんとっ。
あー、こんな朝ごはんだったら、毎日飛び起きてモリモリ食べるんだけどなー。
えっ、前に作ってもらった、私の手料理も美味しかったって?
あんなの、ポークビッツ茹でただけでしょ?
私に、作ってもらったのが嬉しいって?
へー、ふーん……
ちょっと嬉しい……ううん、すっごく嬉しいかもっ。
あー、こんな朝ごはんだったら、毎日飛び起きてモリモリ食べるんだけどなー。 うちはとはつん @xdat2u2k
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