エピローグ
「あーあ、アンナちゃんは結局どっちも手に入れちゃったねぇ」
神様がしみじみとつぶやく。
彼の見つめる先には、純白のドレスに身を包んだアンナだった。
アンナは学園卒業後、校長との約束通りに推薦状をもらって、聖女になった。もちろん、キールの婚約者なので批判はたくさん受けたが、それ以上に応援の声も多かった。
声に出せなかっただけで、この国の女性も外で活躍したいと願っていたのだ。彼女らの盛り上がりも助けになって、アンナは順調に聖女の位を上がっていった。
そして、大聖女が引退をするとき、アンナを次期大聖女に指名したことで、アンナは大聖女になることが出来たのだった。
でも、アンナはここからが始まりなのだと、大聖女として精力的に働き始めた。
一方、キールも第二王子として兄である国王を補佐し、めきめきと頭角を現していった。グリッサ王国に婿入りしたグラシムとも連携を取り、国交を結び、戦争の火種はなくなった。
そして、国王の催促もあり、アンナが25歳、キールが24歳になった今、国をあげて盛大な結婚式が行われているのだ。
「人間って弱かったり強かったり、僕からしたら不思議で仕方ないや」
いや、むしろそういう矛盾こそが人間なのか、と独りごちる。
アンナは転生の際に、とても傷付いて弱り切っていた。だけど、彼女はその傷を糧にエネルギッシュに生き始めたのだ。
そうしたら、今度はアンナのエネルギッシュさに巻き込まれるように、次々と己のエネルギーに火をつけて人生を邁進し始めるでは無いか。
「やっぱりアンナちゃんは見てて飽きないねぇ」
これからも、楽しませてもらおう。
そう思いつつ、神様は民衆に混じり、祝福の拍手を贈るのだった。
(了)
大聖女になりたいので、王子の求婚は断固拒否しま……しますったらします! 青によし @inaho
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