花は、移りゆくわたしを教えてくれる

ひとは時の旅人である、と歌ったのは誰だったか

漢詩がタイトルになったこの作品は、妻を亡くした男性の目線で紡がれる。
冷蔵庫に残されたレシピは文字が薄れ、妻の気配が薄れていく家内。外出の機会がめっきり減った生活習慣……

今年も変わらず花は咲くが、愛でるわたしは時とともにうつろいゆく

作品は変わらずこちらに置かれていても、一年を経て再訪したわたしは、いま静かに目元を熱くする。
手元に置いて何度も読み返したい。清楚な花のような作品です。