来世で逢いましょう

門前払 勝無

第1話

「来世で会いましょう」


 …サンガ

 あのたくさんの炎は奇麗だな


 姫…あれは敵の追っ手でござる


 三岳姫とサンガは大きな檜の枝に座り追っ手の持つ無数の松明を見ている。


 幼少から誰も手をつけれないおてんばな姫の子守を殿様は山の民の末裔であるサンガに頼んだ。サンガもまだ若い少年であったが、たくましく責任感の強い子であった。年頃になると常に鎧を身に纏い姫の傍らにいた。姫がイタズラをするときは見張り番をして、剣術の稽古を山の中で二人でした。そして二人はお互いに愛し合っている気持ちを知りながら堪えていた。

 ある日、国の収入源である木材を狙った大国が攻めてきて国は崩壊した。

 サンガと三岳姫は国が滅んでいくのを見ながら追っ手を逃れたが…今は囲まれている。


「敵に捕まるくらいなら自害する」

「…ダメです。それじゃつまらない!死ぬまで戦いましょう。俺の死に様を見届けてください」

サンガは枝から飛び降りて追っ手と戦い始めた。

 姫も枝から飛び降りて戦い始めた。

 何人も切り捨て、何度も斬られたがサンガは姫を守った。

 姫も細身の刀で追っ手を何人も斬ったが矢が胸に刺さり倒れた。

 息が途絶えそうな姫を抱えながらサンガは山の中を走り抜けた。

 濃いブルーの河原まで辿り着いて、姫をかばいながらサンガは戦った。

 姫は倒れゆくサンガの後ろ姿を見ながらゆっくりと目を閉じたー。


 姫…俺は貴女を愛していた…

 サンガ…解っていた…私も貴方を愛していたから…


 来世で会いましょう

 来世で会いましょう


終わり

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