投稿サイトの無料小説とは思えないレベルの高さです。文章もきっちりしていますし、史実を丁寧に調べた上で書かれていることが伺えます。BL要素については好き嫌いが解れる部分かもしれませんが、エロの部分だけでなく、感情の描写が丁寧なので、じぶんはBLはさほど好きではないのですが、抵抗感なく読めました。
有名すぎる人物は俗説やイメージで語られがちです。「森蘭丸」と言う人の本来の姿を、深い闇の間から覗き見られた気がします。
日本史の【謎】の四番バッター(と私は思っている)『本能寺の変』作者、春野わかさんの描く本能寺は、まさに虚実皮膜で、「これが真実なのでは?」とぐんぐん物語世界にひきこまれます。今までどの『本能寺』より、せつなく、美しく、余韻がなかなか消えません。愛と死が一体化した『本能寺の変』信長と蘭丸の運命の出会いが猜疑、妬み、嫉みを生んで、稀代の英雄の死を無垢なエロスが彩ります。全宇宙の信長ファン、全世界の蘭丸ファンにぜひ読んでいただきたい、永遠の愛の物語です。