近頃のオタク界隈ってカルトめいてるよねというお話
ヨーダ=レイ
第1話
なーんか居心地悪いんですよね、最近のオタク界隈。
「駄作や失敗作も受け容れてこそ本当のオタク!!」とか「制作サイドも頑張ったんだからあんまり貶しちゃダメ!!」とか「我々オタクが買い支えてあげなきゃ!!」とかさ~。ちょっと言い方間違えたり、悪ノリが過ぎただけで炎上して袋叩き、ほんの僅かな批判すらも許されない空気感が漂ってる。
あのね、我々はコンテンツにコストを払った「客」なのだから、感想くらい好き放題言わせろっ当然だろがって話ですし、ネタにして笑い者にしないと視聴コストが回収できないくらいにつまんない駄作しか作れない、才能ない無能がクリエイター気取ってるのが悪いんですよ。だいたい、欲しいものが何なのか伝えなかったらいつまで経っても我々の欲しいものは手に入らないじゃないですか。
それに好きなものがちょっと批判されたからってギャーギャー過剰反応しすぎでしょ、自我と他我が曖昧過ぎるんじゃない?
「駄作や失敗作も受け容れてこそ」? 奴隷の鎖自慢オッツー!て感じですわ。たかが趣味じゃん、なんでそんな信仰の篤さを競い合っちゃってんの??
クリエイター気取りの頭のおかしい馬鹿なんて甘やかしちゃ駄目に決まってる、おまえらみたいな理解者面した馴れ合い野郎が界隈を腐らせるんですよ。駄目なものを駄目と表明できない、ちょっとした批判すら許せない今のオタクたちってちぃっとばかしナイーブすぎるんじゃないのぉ? そんな風にも思います。
でもさ。。。
それって、近頃の若者が根性無しとかじゃなくて、批判精神旺盛すぎた我々
若いオタクたちが炎上させてまで敵視する「敵」の姿が「文句ばっかりの害悪オタク」「アンチ」「老害」であることが象徴するように、批判精神旺盛なオールドタイプのオタクは今のオタクたちにとっては憎悪や嫌悪の対象、自分たちの世界を踏み躙る「敵」なんですよ。「そうじゃないもん、だってぼくorアタシは若いオタク友達たくさんいるし!!」って思ったオッサンorオバハン、あなたは周囲から凄く気を遣われてることを自覚しましょうね。
若いオタクによる「NO」はきっと直接表明するのではなくて、「同じ土俵に乗らない」って形で表れているんだと思います。「好き放題批判しておまえらと同類になるくらいなら、おれは批判なんかしねえぜ!」みたいな。
「意見を正々堂々戦わせないなんて、近頃の若い奴は軟弱だ!」って?
じゃあ同じ老害オタクとして言わせてもらいますけど、我々ってそんな偉そうなこと言える立場なんですか? 現実で吐き出せないものをネットへ無責任にぶちまけ続けた結果(これこそ軟弱の極みですよねw)、現実の人間を
今のオタクたちが、アカウント消したデザイナーさんだかアニメ監督さんだかを悲劇の主人公に仕立て上げて、居もしないアンチだか老害だかの幻想を袋叩きにして炎上してるのって、かつて我々オールドタイプのオタクが「作品批評」や「率直な感想」「ファンとしての苦言」とやらの形で制作サイドやファンを
これは極めて当たり前の倫理の話なんですが、ネタにして弄んで良いのはせいぜいフィクションのキャラクターであって、現実の人間じゃないんですよ。おまえらさあ、フィクションのキャラクターと現実の人間でそれぞれ扱い方がごっちゃになってるんじゃねえの。「ネット/フィクションにハマりすぎると現実と空想がごっちゃになる」みたいな言説、今はもう陳腐化して鼻で笑い飛ばされますけど、もろにそれじゃん。
そういう倫理的にアウトな世界を創ってきたのは間違いなく我々オールドタイプのオタクであって、若いオタクたちのカルトめいた在り様はそれを継承してしまっただけに過ぎない。そんな我々に、若いオタクたちを「批判」する資格なんてあるんでしょーか。
今の若い人たちはそういう「本音」を表明することすらしない。いや、できない、主に我々オールドタイプのオタクの存在のせいで。
今のオタクたちって賢明な人が多いんですよ。もし本当のことを言えば、我々のような馬鹿なオールドオタクに噛みつかれて「同じ土俵に乗る」ことになる。オールドタイプのオタクは百戦錬磨の議論スキーな上にとても大人げない連中ばかりなので、経験値の浅い若いオタクが到底太刀打ちできる相手じゃない。
それにオールドタイプのオタクって「画面の向こう側には本物の人がいる、ネットもまた現実の延長である」という最重要事項を都合よく忘れる鳥頭で、しかもそんな自分の虫の良さや甘さにまるで無自覚なので、追い詰められると「たかが趣味/ネットでしょ、なにマジになっちゃってんのwww」とかヘラヘラ笑いながら相手が傷つくとわかった上でゲスな行動へ平気で手を出すんですよね。そんな連中とやりあえば、それらはやがてエスカレートして誹謗中傷合戦の傷つけ合いに発展してしまう。自分だって傷つくし、なにより世代を超えて友達になれるはずだった相手を傷つけてしまうことも在り得る。
もしそのことを本能的あるいは無意識に理解しているのだとしたら、今の若いオタクたちってナイーブどころか、物凄くメンタル強くて理性的だと思いますよ。我々オールドタイプのオタクときたらちょっと挑発されたら見境なくブチギレて、理論武装して、相手を木端微塵に論破して、焼け野原の真ん中で勝ち誇って悦に入っちゃう、そういう最低の屑ばかりじゃないですか。
その無為さや愚かしさを理解した上で回避し、敵であるはずの我々オールドタイプのオタクですら許して受け容れようとしてくれる、そんな今の若いオタクたちの在り方ってとても賢明で、とても優しい在り方だと思います。かつて苦言を呈してくれた大人たちの手を拒絶し、居心地の良いインターネットの世界に逃げ込んで、自分に都合がいい狭い世界の中で一丁前にデカいツラしてる、我々オールドタイプのオタクなんぞ足元にも及ばない。
そしてこんなことは、表面上の形こそ違えど昔から幾度となく繰り返されてきた「若者とオッサン・オバハンの世代間対立」そのもの。紀元前からよく言われてきたという「近頃の若い奴ときたら~」の繰り返しでしかない。オタク界隈はいい歳こいても幼稚な人が多いから自覚ないのかもしれないのですけど、我々は若者から嫌われる立派なオッサン・オバハンになってしまったのですよ。
それを自覚した上で我々インターネット老人会の年寄りがすべきことは、いつもみたいに批判精神全開で「気に入らないものを理論立てて批判すること」じゃなくて、自分たちの無責任で幼稚な言動の果てにカルトめいた界隈の下地を醸成してしまったことへの「反省」と、そういう世界を継承させてしまったことについて若者たちへ「許しを乞うこと」なんじゃないですかね。
まあ到底無理だろうけどね!!!!
近頃のオタク界隈ってカルトめいてるよねというお話 ヨーダ=レイ @Yoda-Ray
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