第2話 離れ島

「ねえねえ、渡里さん、

前はどんな学校に通ってたの?」

「あ、それ私も聞きた~い」

つばめ「えっと、えっとね…」

転校生の恒例行事なんだろうか、

定番のごとく例の転校生は

質問攻めにあっている。

そしてその転校生はなぜか

学校の話題に詰まっている。

そんでもって私の方をチラチラ見てくる…

正直やめてほしい。どう対処したらいいの…

━━━キンーコーンカーンコーン…

そうこうしているうちに始業のベルが鳴る。

転校生はけっこうあからさまに、

ふうーっと溜息をつくが、誰も気付かない。

━━━いや、私以外、か…?

…どこか、違和感を感じた。なんだろう…?

━━「ここの問題だが、渡里、分かるか?」

━━「えと、すみません………。」

━━「そうか…じゃあ、こっちは?」

━━「わかり、ません………。」

先生の優しげな質問と

転校生の「わかりません」の問答が続く。

他生徒の視線は同情や失望など、

正直あまり良い反応ではない。

「仕方ない、海上、分かるか?」

こちらに問題が飛んでくる。

一瞬焦ったが、ぼそぼそと答えを呟く。

「正解だ」と言う先生や他の生徒の

視線は『やはり』あまり良くない。

私は嫌われているのだろう。

━━━あの頃までは、その方が

過ごしやすいだとか、そんな風に思ってた。

…あの頃、までは。

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海行く翼と春告ぐ緑 美夢るる @yufla777

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