エピローグ

 彼らが地上へ出ると、どうやって抜け出たのか、骨ガメにのしかかられていたはずの男はいなくなっていた。

 ノクティは沼の主を解放する。砂となった主に、ノクティはもちろん、ルリアも手を合わせた。

 空は変わらずの晴天だった。

 彼らが地下から帰ってくるのを待っていたかのように、丁度よくソシィがノクティの腕へ降り立って止まった。

「おい、ソシィ! お前ずっと何処を飛んでたんだよ、こっちは大変だったんだぞ」

 主の怒りに、ただソシィはあっけらかんと鳴いた。その様子を見て、ルリアはクスクスと笑った。

 伝書鳥のポシェットの中を確認すると、仕事の依頼の手紙と前金が入っていた。ノクティは依頼の内容にザッと目を通してから頷く。

「次はこの依頼だな」

「……待ってっ」

 身体の向きを線路へ変えてしまったノクティに、ルリアが叫ぶ。

 呼び止められちゃ、しょうがない。ノクティは彼女に首を向けた。

「……一緒に、行くっ」

「図書館を探すって依頼は終わったろう?」

「こんな所に一人で置いておかれて、私、どうしたらいいの」

 わざとらしく顎に手を当てて、ノクティは考え込んで見せる。

「んー、それもそうだ」

 一緒に行く、彼女はそう言うだろうと思っていた。『頼れる誰か』が、彼女には一人しかいないのだから。

「……じゃあ次は、代わりにご飯が食べられる所まで連れていってやるってことでどうでしょう」

「んっ」

 今までで一番の力強さで返事する。そして彼女は、次にどんな口実の依頼をしようかと考えるのだった。

「じゃ、ルリアちゃんにはオレの目となって手を引いてもらおうかな」

「まだ昼間じゃん。絶対、ヤダ」

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ネクロリコレクション たかおみうるは @k_s_t_u

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