第5話

 神崎ひかげに捕まった折原は、力任せに投げられて、三階の窓から落ちた。

 運良く仰向けに落ちた折原は生きていた。

「クロスカウンターも通じない人間がいるとはな。どうしようもねえな。」

 折原にとって自分の拳だけが拠り所であった。この拳があったから、今まで死なずにすんだのだ。

「クソッ…」

 折原の頬に涙が伝う。これで自分は終わりだと確信した。


 燦々と輝く太陽は、折原の真上で彼を照らす。彼の景色は白一色に染められた。

 彼にとって、絶望は白い色をしている。そしてまた、革靴の音が遠くから近づいてきた。

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神崎ひかげVSディック・マン あきかん @Gomibako

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