ウグイスが鳴く時

ウグイスの鳴く時、


　彼女は、


　死ぬ──。








　「私───が嫌いなんだ」

　真冬のある日、七瀬は少女と出会う。
　暖房が効いた病院。入院する予定になった七瀬の前に現れた少女。
　名前も知らない、知り合いでもない少女。しかし、何故だかどこか喋りやすい。



　

　「私の名前には─が入ってるのにさ」

　いつも窓の外を見つめている。
　冬の寒い日に。




　「─ってね、春には────が来て──を持って行っちゃうんだ」

　窓の外を見つめていた彼女がこちらを向く。





　「それってなんか─────を取られてるみたいでさ」

　ケラケラと、馬鹿馬鹿しいよね。と言わんばかりに語りかける。
　その目は泣きそうだ。










　これは僕の、彼女の、人生の物…続きを読む