最終話 ぬいぐるみ

ぼくはくまお。


10年前に主の元へプレゼントとしてやってきたんだ。


今日も僕の主は、パソコンとにらめっこ。


「はっ、しまった」


あ。また言ってる。


主の口癖なんだ。


ぼくはくまお。


主に名付けられたんだ。


もちろん気に入っているよ。


でも本当はもっとかっこいい名前が良かった。


" ジョン "とか。



「くまお〜〜おはよ!今日ももふもふ〜〜」



🐻(おはよ。この声は主の子供の蒼太だ。)



「おかあさん!くまお、学校に連れて行ってもいい?」



🐻(え、ぼく連れてかれるのか?ダメに決まってる。)



「ん〜じゃあ、先生に見つからないようにね!」



🐻(え、、ぼく、学校行くの、!?)



「うん!!!やった〜〜〜くまおも喜んでる!!」



🐻(ったく、。大人しくついて行ってやるか。)



ぼくはくまお。


ぎちぎちに入った教科書の上の隙間に押しやられ蒼太の走る振動でぼくも揺れる。


まるでインドとかにありそうな予測不可能な動きをする遊具だ。



「は!しまった!!くまお〜筆箱家に置いてきちゃった。」


あらま。いつも忘れ物しない蒼太にしては珍しい。


「だって、くまおのスペースさ、いつもだったら筆箱なんだもんん。」


君が勝手に連れてきたんだろーが。


いつも抜けてる主も、筆箱の存在に気づかないだろうな。


そう思っていると


遠くから、筆箱をぶんぶん振りながら、主が走ってくる音が聞こえる。


「お〜い、筆箱わすれてるよ〜〜〜〜〜」


「くまおは、私が持って帰るからね!ランドセルに入らないでしょっ。」


「ちぇ。わかったよ〜。」


しょぼくれた顔をしている。


諦めも肝心だぞ。少年よ大きくなれ。



ぼくはくまお。


今日も主は平常運転。


ほんとは "くまお " って名前気に入ってるんだ。


って思われてて欲しいなと妄想を繰り広げる


脳内お花畑の21歳。





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10年後のわたしはきっと。 @karen_n

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