構いたい俺と構われたくない君

@comiccccccccccccc

第1話

きっかけは特にない・・・と思う。

ある日突然、とかではなく、なんとなくいきなり壁ができた感じ。

多分、あっちも同じように思ってただろう。だって話しかけにも来ないのだから。

僕が唯一緊張せずに話せた女子。

僕が唯一男友達と同じトーンで話せた女子。


まあ、あっちからしたらそんな「特別枠」ではなかったと思うけど。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ーーーやから、メソポタミアでは多くの神が信仰されてたっちゅうわけですな。

はい、じゃあエジプトの範囲入りますわ。

エジプトではーーー」

瞼が重い。重すぎる。先生の声も途切れ途切れにしか聞こえない・・・。

世界史の戸塚先生、普段は気のいいおっちゃんなんだけどキレると怖いんだよなぁ・・・。

本人は知らないが、キレたら真っ赤になって怒鳴ることから裏で「赤だぬき」って呼ばれている。カップそばかよ。

なんかもう思考が夢か現実か分からないな・・・。

目薬作戦、太ももを抓る作戦、むしろ先生を凝視する作戦。ことごとく失敗してきた。

いかん、このままでは真面目な生徒のイメージが・・・。

・・・・・・・・zzzzzzzzz

ハッ!!??

危ない、寝ていた。なんとか気づかれる前に起きられてよかっ・・・なんだなんだ、後ろの席の吉田がつついてくる。

「山本!!前!!アカダヌキ!(小声)」

そうして視線を前に向けるとそこには・・・

赤ら顔の中年の顔面がいっぱいに。

怒号。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうも、居眠りしていて教室で怒鳴られた挙げ句罰として職員室に課題を運びに来た山本です。重くない?過剰じゃない?

6時間目という、誰もが眠くなる傾向にある時間帯に、本能に従った結果がこれかよ。

はい、こんな憎まれ口先生の前では叩けない小心者です。

・・・ともあれ、早く帰ろう。

もう部活に入っている人は活動をしている時間だ。俺も部活にいそしもうではないか。

そう、帰宅という最大のタスクである。

運動神経はない、じっとしていられない、

勉強はする気がない俺に残された道は

「帰宅部」であった・・・。

帰宅「部」ってところがなけなしのプライド感じさせるよね・・・って益体もないこと考えてるうちに、隣のクラス前まで来ていた。

ここまで来れば目的地はもう目と鼻の先なのだが、俺は関係のないことを考えていた。

「・・・あいつ、確かこの2-6だったよな」

俺は5組だ。そしてここは6組。

思考に引っ張られる様に6組の教室に立ち入っていた。

するとそこには、ずぶ濡れになりながら机を拭く女子が。

・・・「あいつ」であった。


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