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 わたしは公衆電話を通して、彼女との会話に花を咲かせている。


 「結構何回もこの夢みるの。懐かしいよね。22時頃また行ってみない?同じ景色がみられるかも。」

 


 「お姉ちゃんの体調もあるし、無理に出歩かないほうが良いよ」


 「なら久しぶりに遊びにきてよ、お手玉6個も出来るようになっちゃったの。また教えてあげる。知りたいでしょ!」




 「本当にごめんなさい受験とかで忙しい時期なので、しばらくは。」


 何か次の言葉を、と息を吸ったところで電話は切れてしまった。

 そのまま吐いた息はだんだん地面へと流れた。

 わたしは受話器を握ったままその沼から動くことが出来なかった。

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なナし @nanashi551

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