何度も繰り返す空想

@blanetnoir




何度も繰り返す、とある想像癖がある。





例えば家族とともに乗る車の中、

家に向かう景色を眺めている、

その刹那


魔が差した暴走車が追突して

世界が暗転する。





あるいは、





推しに夢中で何もかもが幸せな刹那、

(このまま死ねたら幸せだ)

そう思った次の瞬間に

死の使いが私の首に手をかけて息の根を紡ぐ。







日々の生活の中にある

他愛ない景色の次の瞬間に

終の時を迎えるイメージ。








私の人生が終わる瞬間はいつ来るのかと、

どのような形で消えるのかと、




こうあって欲しいと願いを交ぜ織りながら。





必ず訪れることだけは

全ての生き物に約束されているのに、



いつ、どのように来るのかは

誰にも約束されていないので、





忘れた頃にやって来る約束を

忘れないように








(来るなら今この瞬間がいい)と

リクエストを挟みながら、

約束の瞬間は今ではないかとイメージする。









不覚の不意打ちだけは

させてやらないと思いながら、






暖かくまどろむ、

2月の窓ごしに差し込む世界を見つめる。








この世界を生きている時間の連綿たる先に、

いつか来る私の世界の終着点を想う。




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