「あらお父さん、どこか出掛けるの?」
「あ、あぁ、ちょっと……」
「……遠出の格好?ねえあなた、どこ行く気なの?」
「ちょっと、池袋まで……」
「ちょっ!この非常態宣言の中、越県する気!?」
「ええい離せ!俺は迎えにいかなくちゃならないんだ!」
「なにを……ねぇ!息子!息子!ちょっと来て!」
「……もう、なんだい二人共、玄関先で騒がないでよ」
「お父さんがこんな時に池袋に行くって言うのよ!」
「離せ!俺はうぱぁを!」
「池袋?……うぱ?……ハッ!」
「ちょ、息子!羽交い絞めにするのは母さんじゃなくて父さんの方よ!むぐむぐむぐ」
「父さん行って!後は僕に任せて!」
「すまん息子!すまん!」
「……がんばれ、父さん!」
~~~~~
「ただいま!」
「お帰り父さん!首尾は?」
「上々!それより、母さんは?」
「そんなことより早く!」
「お、おう……見ろ息子、これだ!」
「……ぴろぴろが付いてない!父さん!これ色が似ているだけの偽物!Qべえだよこれ!」
「ボクと契約する子はどこむぐむぐむぐ!」
「な、んだと!?」
「もう一度第一話からよく読んでよ!それと罰としてレビュー書いてよ!」
「と、父さんレビューなんか書いたことないぞ」
「大丈夫。事実を書けばいいんだよ!」
「でも事実を書いたら、父さん頭のおかしい人だって思われちゃう……」
「仕方ないよ、誰だってこの沼に落ちればそうなってしまうんだ」
「息子!」
「父さん!」
こうしてまた、業の深い一つの物語が、一つの家庭に闇と絆をもたらしたのであった。
そんな素敵な物語でした☆
あぴ子は「ポーカー探偵☆エクスプレス」に登場する推しキャラ、タマキさんへの愛と脳汁があふれるOLさんです。
紹介文の一文字目からツッコミ所ですが、そんなことを気にしていたら進めません。
あぴ子は同棲していた彼氏に振られ、悲しみのどん底で、しゃべるウーパールーパーっぽい何かに出会います。
うぱまろと名づけた謎の癒し系生物、そして今や誰はばかることなく解放された推し愛と共に、あぴ子の新しい生活がスタートします。
終わらない仕事、困った同僚、砂漠のような合コンに、忘れた頃にツラを見せる元彼など、日常のアップダウンを妄想の多段式ロケットで飛び越えるあぴ子ちゃんが素晴らしいです!
うぱまろを追いかける怪しい連中、独特な雰囲気の獣医さんなど、ちらほらと気になる登場人物が顔をそろえたと思ったら、なんとも一気呵成なクライマックスで盛り上がり、誰もが納得できる見事なラストシーン、拍手喝采です!
ほっこり優しくも、いろいろオカしいこの世界、皆さまも是非お越し下さいませ。
マイペースなお騒がせウーパールーパー(!?)と、推しへの愛が強すぎるOLの、一風変わった日常物語です。疲れた脳に、癒しと笑いを与えてくれます。
うぱまろのお騒がせ感に毎度、ほっこりします。周りを巻き込んで楽しませる天才だなあと。
OLのあぴ子も、推しへの愛が強すぎて、微笑ましいです。一生妄想だけで生きていける子ですね。
これは、うぱまろに手を焼かされる展開かと思いきや、我を失いがちなあぴ子を、優しいうぱまろがフォローする場面も多々あったり。
かと思えば、日常の色々な場面に伏線が張り巡らされており、物語が進むに連れて、すべてが一本の糸で繋がる時が来ます。
基本笑い、適度に刺激、山場の驚きに、いい塩梅のシリアス加減です。これはハマります。