What's up?──two
会場からから家に帰るため、電車に乗り込みポケットからすぐさま携帯を取り出す。
検索欄に【高校生ラッパーズ選手権】と打ち込み一番最初にでてきたウェブサイトをタップする。
下に行くと、『次世代のスター発掘!出場者応募!』と書かれた場所があり、そこをタップするとラッパーとして出場するときの活動名義や年齢などを書く欄が出てくる。
関東部門と関西部門で予選があり、計十六名が出られる。つまり、予選通過は上位八名が通れるということである。
選手権は半年に一回のペースで開催されているため、COCに出られるチャンスは二回ある。
だが、一回目で波に乗れないと二回目も波に攫われ落ちていくだけである。
ラッパーとしての知名度が何も無い無名の俺が選手権で勝ち上がる方法は実力も勿論のこと、プロップスも得なければならない。
プロップスとは周りからの評価や名声のことで、あらゆる大会で好成績を残せばプロップスを存分に稼ぐことができる。
このプロップスがあれば、僅差の勝負のときに有利に働く効果があるのであればあるだけ便利なものなのである。
プシューとやる気の無い音を立てドアが開く。降りる駅だったので、スマホの画面を見ながら電車から降りる。昔は、『ながらスマホ撲滅』など掲げている人達も多かったが、今じゃみんなスマホを見ながら駅の中を歩き回っている。勿論その中の一人に俺も入っているが。
そういえば、出場無料の大会が渋谷にあった気がした。毎週金曜日の夜七時から八時頃までやっている大会であった気がする。小さな箱の小さい大会ではあるものの、YouTubeに動画がアップロードされるため
一次審査のラップバトルは、その場で勝敗はつけずに見ている審査員が評価をして二次審査に通るかどうかを決める。
ラップバトルでの評価基準は主に三つあり、韻,flow,disの三つの要因が主な評価基準である。
韻というのは、昔から使われているもので母音を合わせて歌いやすくする役目や、聞いた時に耳に馴染みやすくする効果がある。韻を主体としたバトルをするラッパーのことは、主に【
もう一つのflowとは、歌い方や言い回しのことでありバトルで流れるビートに対して、どれだけ気持ち良く音に合わせながらどれだけ奇想天外な歌い方をするかがflowが上手いと言われる方法である。
disというのは、皆が知っている通りで、少し違うかもしれないが相手に対する悪口を言うことであろう。悪口を言うと言っても、的を得て無かったり、自分の身の丈を超えるようなdisは御法度に近いものである。
駅から出てビカビカとしている街の光がやけに目を刺してくる。
そういえば、ずっとスマホの画面を見ていたが、活動名義が全く思い浮かばない。小さな大会に出る時は、友達に適当に付けられたあだ名や頭に浮かんだ単語で出ていたため、これだと決まったものは無いのである。
なんにも思い浮かばないため安直だが、自分が一番尊敬しているラッパーの
家の前に着いたため、ガチャとドアを捻り家に入りすぐさま二階に戻りベットに倒れ込む。武道館を後にした後の数十分でとてつもなく疲れた気がする。
今日は休もう。明日に開催でもされている大会を探して出てみよう。
おやすみなさい。
DREAM IN THE M.I.C 廃車 @FUKUM1A
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