第五幕!私の独創的な!発明品大活躍の巻だ!

 ドンキホーテ、彼は普段は、遍歴の騎士と呼ばれる旅の騎士、各地の村の治安を守り、冒険者ギルドの治安を守り、所構わず治安を守りまくる。

 そして時には善良な町人より優しく、冒険者より勇敢になれなればならない。

 しかしそれは表の顔だ!裏の顔は、秘密結社「黒い羊」の構成員、影から迫り来る世界にとっての脅威に立ち向かう!まさに影の英雄!

 そんな、彼は今日も相棒の魔法使いの白猫、彼にとっては魔法の先生でもあるアレン先生と共に今日も脅威に立ち向かう。


 さあ今日の脅威はなんだ!空飛ぶドラゴンか!世界転覆を狙う、カルト教団か!悪魔か!天使か!邪神か!それとも特殊な能力を持つ人間ということもあり得るぞ!


 さあこの最強のコンビが立ち向かうのは!





 それは!自分の研究室の中央でメソメソ泣いている中年の問題を抱えたおっさんだ!!


「よし帰るかのぅドンキホーテ!!」

「まぁ待てよアレン先生!話だけでも聞いてみようぜ?」


 嫌そうな顔をしながらアレン先生は、了承する。アレン先生は何を隠そう、このメソメソ泣いているおっさん、頭脳明晰で天才のサンチョ博士が苦手だ。


 いや苦手という表現では生温いほどの、犬猿の仲だ


 だが流石のアレン先生も、ドンキホーテの説得により思い直す、やはり泣いている人をほっとくのは確かに寝覚めが悪いからだ。

 ていうか寝覚めた時自分は死んでいるかもしれない、この阿呆天才科学者の世界を巻き込んだ無理心中によって。

 それは非常に困る、というわけでドンキホーテとともに、アレン先生はこの天才科学者のサンチョ博士の話を聞くことにした。


「よう博士どうしたんだ!」

「グスッ、エグッ帰ろうとしたろ?最初!」


 ここは嘘は良くない正直にドンキホーテは話した。


「ああ、アレン先生がな、そう提案してた。アレン先生らしいよなたくっよー!」


 笑いながらドンキホーテは答える。


「嘘だぁ!」

「博士!?」


 側から見ていたアレン先生は軽く引いてしまう、サンチュ博士はすごい、形相でドンキホーテを睨み続けた、それはもう鼻水や涙でぐしゃぐしゃになりながら。


「本当は、私を見捨てるつもりなんダァぁぁぁ!」

「オイオイ!あんたなぁ!俺たちは邪神を復活しかけたあんたを、見捨てなかったんだぜ?もう邪神復活で、見捨てないんだから、ちっとやそっとじゃ見捨てねぇよ!」


 サンチョ博士は「あ!」確かに!とでも言いたげに単音を発した後、自身の服で、確か白衣とかいう服で顔を拭った。


「じゃあ話してくれるか?」


 ドンキホーテは優しく語りかける。


「ああ!すまない!親友を、疑うなんてどうかしていた!ああいたのかミス・アレン気づかなかった」

「できれば一生気づかなくても良いのだぞ」


 そういうと、お互い、「フン!」と顔を背けた。


 ――よし、なんとかいつも通りになってきたな!


 いいことだとドンキホーテは頷いた。そしていつもの調子に戻ったサンチョ博士はペラペラ喋り始める。


 事の発端は博士の発明品、全身洗浄機を発明したことに端を発する。この全身洗浄機、動力源はなんとペダルを漕ぐ構造の人力と魔法石、つまり魔法を込められた石が動力源のハイブリット。

 それに加えてしかも1人で座るだけで全身を洗えるという、サンチョ博士の表現を借りれば世紀の大発明だった。

 しかもこれは現代の文明のつまり今現在の中世リナトリオンの技術でも再現可能なものだった。


 サンチョ博士は思う、これはもう!売り出すしかねぇ!と


 そう思った博士は早速、いつも一日中引きこもっている研究室を飛び出て、黒い羊のある部署に飛び込んだそこの部署はいつもサンチョ博士が発明品を持ってくるところだ。


 名は「サンチョ博士発明品検閲部門」仕事内容は名前の通りだ。


 ピンポイントな部署だが仕方がない、少しでも未来の技術がサンチョ博士の発明品に混じっていれば世界は狂ってしまう。


 それ故に独特の緊張感の漂う部署でもある。


 そこで博士の発明品は世に出るか、世に出ないかが決まるのだ。

 博士は絶対の自信を持っていた、今回の全身洗浄機は、受かると!


「あーでは実際に動かしてみますね!」


 部署の担当が動かしてどのような機構が使われているか、動力は何か、調べていく。緊張が博士に走った。


 そしてついに担当の口から審査の結果が言い渡される。


「博士、今回の発明は独創的で、斬新で、革命的!意外性もあって、今までになく!進歩的な――」

「もういいぞ世辞は!でいつ!発表するんだ!?実はもう量産計画まで立ててある、これが企画書だどうかな?」

「その博士…」

「なんだ担当くん?」


 すうと担当くんは息を吸い込み言った。


「発表できません、この機械は発表できません!」


 これほどまでに衝撃を受けるのは博士は生まれて初めてのことだった。


「そんな……どこがダメだったんだ?!こいつは全身をくまなく洗えるんだぞ!!人類は皮膚トラブルにさよならできるぐらいの歴史の変化があってもそれぐらいだろ!!!それに、それに、それに、それ…に!途中まで絶賛してたじゃないか!」

「だからダメなんです!」


 サンチョ博士は間抜けな顔をして口から魂が抜き出たみたいな言葉を発する。


「へ!?は?!え?!」

「独創的で、斬新で、革命的!意外性もあって、今までになく!進歩的だから…ダメなんですよ、技術革命が100年早くなるからダメだと…そう審判しました!」

「そんな!タイムマシンはわかるぞ!この時代で発表しちゃいかんというのは!確かにとんでもないものを作り出したと我ながら感心した!そしてタイムマシンを別の時間軸で普及させたこともあった!身に染みて実感したよタイムマシンは発表して普及させちゃいけないって!」


「でも!」と、博士は食い下がった!


「これはいいだろう!全身洗浄機は!私だって科学者だ!自分の発明が世に受け入れられていると!役に立っていると実感したいよ!!担当くんダメか!これ使えばモテるよ!肌ツルツル!!」

「それでもダメなんです博士!あなたが天才すぎるからダメなんです!未来から、送られてきたタイムラインは守らなくてはいけないそれが私たちの仕事、ごめんなさい…博士」

「そんな!私は!この時代で生きていくと固く決めたんだぞ!未来でも過去でもなく!!こんな仕打ちあんまりダァぁぁぁ!」



 話が終わると再び、博士は泣き始めてしまった。


「最高傑作だったんだ!タイムマシン以来の!最高傑作だった!私の最高の創作物だったんだ!それをあんな風に切り捨てるなんて残酷だよ!悪い面しか見てないんだ!あんなにも良い面があった!そうだ生みの親だからわかるぞ!あんなに面白く!美しく!!!素晴らしい発明はないって!」


 博士は泣きながら訴える。


「一体、私は!いや我々発明家いや、アーティストは!!いくつ情熱を捧げた創作物を切り捨てられねばならないのか!切り捨てられた創作物はごみなのか?!情熱は、あの時ビジョンが見えた時、覚えたワクワクは、未来へのドキドキは黙って捨てろというのか!そんな簡単に捨てられるものか!!!!!!!」


「ふざけるなぁぁぁぁぁぁあ!」サンチョ博士は、ドンキホーテの膝に泣きつく。


「オイオイ博士!大丈夫か?」


 博士の嗚咽は止まらない


「くっ!ウグゥ!うえええ、あそこに大きな扉があるだろう!?そこには今まで切り捨てられてきた私の宝物があるんだ!どれも最高傑作だったさ!でもあの子達はだれの目にも触れず、役に立たず!!いつか捨てる時がくるんだぁぁぁぁぁぁぁ!誰かに役に立って欲しくて私は作ったのに!喜んで欲しくて、楽しいって言ってもらいたくて作ったのに誰にも使われず、錆びて朽ちて、どこかに行ってしまう!やがて、私の記憶の中すらからなぁ!!」


「なぁドンキホーテ!」と博士は、ドンキホーテを見ていう。


「私のあの時込めた想いは、願いは、捨てられてしまったらどこにいくんだ?ゴミ箱か?それとも焼却炉?それとも忘却の彼方か…?そう考えると私は虚しさを感じ、自分の半身を奪われたようなそんな気持ちになるのだ!こんな想いするくらいならもう発明家なんて辞めてやる!!もう!たくさんだ!!死んでしまいたいよ!私の想いを乗せた子供達は残酷にも発表される前に壊されたものおんなじだ、どうせ忘れさられ!いつかゴミ箱か、焼却炉行きさ!だったらもう無駄!これ以上自分の子供達を残酷な目に合わせたくはない!」


 博士は立ち上がり、ベッドにふて寝してしまった。

「博士…」ドンキホーテは声をかけようとしたが、アレン先生に止められる。


「ありがとう友よ話を聞いてくれて、ただそれだけを聞いて欲しかったんだ!重ねてありがとうよ!!それじゃ済まないんだが、一人に、うぅぐすっ!!一人にしてくれ!!」


 ドンキホーテ達はかける言葉が見つからず、その場を離れていった。





 翌日、サンチョ博士は例の宝物が入ってる扉を開ける。宝物を処分する為に。

 懐かしい思い出の香りが鼻をくすぐった。ああだから嫌なんだこの場所を、開けるのは!サンチョ博士の方に暖かい雫が流れる。

 ノスタルジックな気分になる、どれも日の目を見なかった我が子達、なぜ処分せねばならないのだ、いや処分は必要だ、だって!どうせ私が死んだらこの子達は、誰も使わないじゃあないか、それは私が生きていても変わらないなら!

 最後に私が全部、使ってから終わりにしよう、そうだ今日、捨てるのだ…


 最初は全自動食器洗い機だ、これは不味かったな、ハハハと博士は笑うだって、構造は全く違うが未来にあったんだ同じものが!これは傑作な失敗だ!


 未来にあるもの現在使っちゃいかん!というわけで没になったんだ!


 でも、思いついた時!私はなんて!天才なんだとか…!そうだこれは歴史に名を残すぞなんて思ったっけ…ワクワクしたなぁ組み立てる時!

 そういえばこの時はスランプだったなぁ!思い出してきたぞ!この子はこの子を思いついた時私は!初めてのスランプを脱出できたんだ。結果は失敗だったが私を救ってくれた…!最高の子供だ!失敗なんて関係なかった!私の、私の頭の中から生まれてきてくれたことが嬉しかった。


 だめだ!今日は処分する為に!扉を開けたんだろうが!博士は頬を叩く。


 そうだとこの子は全自動食器洗い機は後にしよう、後にするあいだそうだ、食器を、洗わせてやればいいんだ!そう思いついた、博士は朝食で使った皿をセットし、動かし始めた。


 おおちゃんと動くじゃないか博士は感心して、違う発明品を捨てることにした。


 次はこれだ、懐かしいな。

 多機能永遠ランタンこれも博士が、思いついた、確かタイムマシンの次に思いついたんだ、これは思わず博士が、未来の知識を、混ぜて作ってしまったせいで、没になった。


 燃料が不味かったのだ、このランタンは博士の作った無害な核燃料で光を灯しているのだ。

 光は暖かく、当時の記憶を思い出させる。とにかく、私は人々の役に立ちたい男だった、これを作った時、私はやはり正直に自分は天才だと思った。

 無害な核燃料を今、作ってもしょうがないと思っていたのになぜか、作ってしまった。だってこの子は通りはしないなぜなら、未来の知識を作ったんだ。それをわかっていたはずだ。


 なんでだっけなぁ、そう博士は考えてるうちに思い出した!


 ――ああ!プロメテウスの火、作戦、はははは!そんな作戦立てたなぁ!当時はいけると思ってた!


 ほぼ一生灯り続ける火は人々の生活を必ず豊かにする、そう信じていた、でも、この核燃料を作ったのは別の目的だ、私が個人的に作ってみたかったからだ。

 自分の限界に挑戦してみたかったんだ。まさかそしたらこんなものができるんだもんなぁ!

 どうにかして発表したくてしょうがなかった!だからランタンにこの燃料を、無理やり押し込めて改良してなんとか通ると自分に言い聞かせてたんだ!


「私はこんな凄いものを作ったんだ!みんなに使ってもらいたくて!ずっと光ってるから!もう薪はいらない!暖かくて暖炉もいらない!一生光り続けていられる!!」


 そんなことも夢見てたっけ、でもこの核燃料の恐ろしい使い道を考えた時、私自身この子は世に出るべきでないとかんじてしまった。

 この子は、そう何よりも、没になった理由が自分でも完璧に納得できてしまった為、大変なショックを受け、この扉の中にしまったんだ。封印するみたいに。

そういえばこの子が一番の古株か、まあ、というわけでこの子は珍しく、私が作り出した問題児というわけだ!ガハハ!と博士は笑った。




 その問題児が、まるで先導するように扉の中の宝物を照らす。どれもいろんな思い出があった、楽しかったし、どれも、私の実験から生まれた発明品だ。

 どれも作るのに苦労したなぁ、世界を滅ぼしかけたりして、でも発表できたのは、どれ一つとしてなかった、どれも世界の歴史を、狂わさせてしまうから。それが理由で。


「ごめんな私が未来に生まれなくて、時は私の味方じゃない、タイムマシンでいっても結局、私は未来にいられないんだ」


 ふと全自動食器洗い機に目を見張る。止まっている、食器が洗い終わっている、ああ、そうだ


 ――最後に私が使って捨てようと思ったんだったじゃあこの子は今捨てる対象になったわけだ。


「できないよおぉ!」


 博士は全自動食器洗い機に、縋り付いた。でも捨てなきゃなそう思う、そんな時だ。

 空中に浮かぶ文字が流れてきた。


 これは!博士は目を見張る!私がこれは災害用のsosのために作った空飛ぶ文字粉末だ!誰かが盗んだのか!?当惑した。


【例の部署へ】と書かれている、博士はフラフラと文字に導かれるまま、あのトラウマを、刻みつけられた部署へと足を運んだ。


「暗いぞ、担当くん?!担当くん!」


 例の部署は誰もいない、魔法灯と呼ばれる魔法でつく光も消えている。

 不気味に感じていたところ、突如、魔法灯がついた!


「う!なんだ敵襲か!!」


 博士は身構える。




「サプライズー!!いえーい」


 一番の親友が光の中から、ケーキを持って出ててきた。


「どうしたんだ!なんだ!え?何がサプライズ?!何がめでたいんだ?」


 よく見ると周りには見知った顔、アレン先生までいた。


「博士!あなたの全身洗浄機の件ですよ!じつはこちら側の手違いで!没を取り下げます!」


 その言葉に博士は心が震えた。


「まて本当かじゃあ私はやっと人の役に立てる発明を!?凄いぞ!やっとだ!邪神を蘇らせた甲斐があったぞう!!!!」

「それと博士その、もし博士がよければなのですが、博士没にされた作品を廃棄されていらっしゃらないんですよね?是非黒い羊、内部で使わせていただけませんか?」


 その言葉に、確かな喜びを、胸に覚えた。それは救いだったあの子達にとって。


「あぁいいぞ!一部は私の監視付きという条件なら、例えばそうだな!全自動食器洗い機とかな!ところでこんな、イカした提案誰がしたんだ?宝物の扉は恥ずかしくてドンキホーテ以外にはいってないぞ!まさか親友!お前が!?」

「俺じゃねぇさ俺はケーキ用意しようぜっていっただけ」

「じゃあ誰が?!」

「へへ本当はわかってんじゃないの?博士?」


 博士は鼻をふんとならす、「まあ、たまにはいいこと考えるじゃないか」と。


「今度やつの好物でも送ってやるか」


 いつのまにかその場を離れていた白い猫は外でくしゃみをした。

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秘密結社黒い羊と、頭脳明晰でとても強く負け知らず(自称)のサンチョ博士のなぜか苦労しまくり!挙句の果てにはああ!!書くのも憚れるわ!ていうか(自称)つけたの誰だ!またあのクソ猫か!?クッソ!【規制】 青山喜太 @kakuuu67191718898

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