制作秘話という名のあとがき

読了、ありがとうございました。ここは、カクヨムオンリーあとがきです。今回、こういった企画についてのまとめページでもあります。もう少し、お付き合いしてもいいわよという方、どうぞ読んでくださいませ。


1 水原とかいう隊士。はじめは「篠山」だった件。

いったんは、「篠山」で書き終えたんです。でも、山崎さんの「山」の字と、かぶるなって。それはまずい。非常にまずい。で、篠のつく名字でそれっぽいのを探したんですが、「篠原」では実在の隊士がいるし、篠田? 篠川? ひっくり返して、長篠? 鉄砲か? オールドな巨人ファンなら篠塚なんですけど(意味わからなかったらゴメン)。なんかしっくりこなかったので、適当に! 水原とかいう命名にしました。こういうのは、最初に確認しないとだめですね。

「サエ」もいまいちですね。「サク」と似ているので。ついでに作者とも。なんとなく名前をつけると後悔しますよというよき(?)事例。

あまりに有名な地名を名字に使うのも、混乱を招くのでやめます。「渋谷」さんとか。新宿さんや池袋さんは聞かないけど。個性ある名前にしてあげたいけど。あんまり尖るのもどうだろうか。「勅使河原」さんとか「万里小路」さんとか。「土方」さんも、新選組好き&多摩っ子には普通ですが、全国的には「どかた」さんと読まれそうだ。作者、ヨガに通っているんですが、レッスン中に先生が「ひじ・かた、のばしてー」って言うと苦笑してしまうのは自分だけですか。

名前に関しては、これ以上語ると長いのでこのへんでやめておきます。

と言いつつ、かなりの頻度で名前語りしています。すみません。


2 個人的な趣味で、冒頭は土方さん

絶対譲れない、土方推しの自分←

でも、『浅葱色』の土方さんって現場型ではなく、屯所にどーんっと構えているイメージなんですね。かるーく、脱走隊士を追跡するような立場ではないなと思い、冒頭での登場のみとなりました。残念。土方さんは自分の作品で動かそう、うん。


3 きょうだいの意味

水原=義姉サエ

総司=さくらちゃん

の意味を込めてあります。


4 女子としての葛藤

このとき、さくらちゃんはいいお年ごろなので、自分の女としての旬、を意識していると勝手に想像し。化粧するときや身体の傷を気にしています。だってねえ、試衛館メンバーと上洛しなかったら、ふつうに嫁いで家庭の妻&母になっているでしょうし。。。彼女がそれを望まなくても、近藤家のためにはそうしたのではないかと、これも勝手な想像。


5 当初、温泉で混浴するのは総司だった!

江戸時代のお湯(銭湯など)って、基本混浴なんですよね。信じられない。まあ、現在でも古くから続いている温泉宿の露天では若干、残っていますね。

なので、さくらちゃんがおふろにつかっていたら、あとから総司が入ってきた、という流れを当初は考えていました。それで、さくらちゃんの身体の傷を見てうわってなる展開。それ以上でもそれ以下でもありません。でも、だからどうなのか、その後の展開につながらなくて、ボツ。


6 話の展開は、わりと、あとづけである。

書いていくうちに、このネタは使えそう……と、追加することが多いです。総司と夫婦を名乗ることになったり、水原がさくらちゃんに憧れていたという設定も、実はあとづけです。このへんのアイディアは、書く前に固まっているといいのに……いつもこんな感じです。


7 基本的なネタは

ここでイメージしている温泉は、有馬温泉です。先に、私の別作品のキャラクターが「有馬温泉へ行くお話」を考えていまして。京都からの電車経路など、途中まで調べました。でもしっくりこなくて。そもそも、私が有馬に行ったことがない。テレビで観ただけ。個人的には、今回の温泉宿「黒鉄屋」は箱根か小田原かそんなイメージで書いています。たぶん、京から有馬まで到着するのが早すぎると思うのですが、そのへんはぼやかしてあります。もっと近い温泉をイメージすればよかった?


8 タイトル

『秘すれば花なり』だった。だけどやっぱり桜をつけたくて、時候の挨拶で『葉桜の候』というものがあると知り、使いました。初々しい花の時季が終わって、葉(青年)になるという、暗喩でもあります。なお、仮タイトルは『桜色の浅葱』。安易で申し訳ありません。


9 登場人物

ほんとうはもっと、人数を減らしたほうがすっきりすると思います。1万5千字なので、せいぜい三人ぐらいで回すのが適当ではないかと。主要人物だけで五人います。温泉宿で出迎えてくれた女性スタッフが黒鉄屋(サエの主人)の浮気相手なんですが、そんなん書けなかった。さくらちゃんは京の幹部たちを何度も思い出していますし、水原が過去を回想して語るくだりでも、水原長兄・次兄・父母……となるとこのネタ、短編向きじゃなかった?



と、思いつくまま書いてみました。読んでくださった方と、そしてこの企画を快諾してくださった初音さんにもういちどお礼を!

ほんとうにありがとうございました。

書くのって大変ですが、楽しいですね。


さて、さくらの開花も各地で届くようになりました。あたたかくなってきて、うれしいです。そんな季節に完結できたこと、うれしく思います。



2021/03/19 藤宮彩貴

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葉桜の候~秘すれば花なり fujimiya(藤宮彩貴) @fujimiya

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