時として私たちは、好きなものよりも嫌いなものの話題の方が盛り上がる、すなわち理由を逐一述べることができる。そういった経験からも分かるように、得てして私たちは嫌いなものこそ、深く印象に刻み込まれている。
本作もまた、そういった事柄よろしく、後輩に嫌われることで、現状の立ち位置がおぼろげなものから、少しずつ確立されてゆくことに気づく。
そして私たちがもう一つ知っている事は、嫌いなことは極力忘れようとすることがあるという事。
後輩が打ち明けた話とそれによって展開してゆくストーリー。
主人公たちが選んだ現状は、嫌いから始まるが故にその先には、「過去」とは全く異なる世界へ転じてゆくであろうことが期待される。