過労死手前(140字小説)
塩塩塩
過労死手前
退職した先輩に会った。
「働き過ぎで過労イカになったんだ。過労死でなかっただけマシだけどな」
先輩は、八本の足と二本の触腕をニョロっと動かして見せた。
その手足は、それぞれナイフや栓抜き、工具等を握っていた。
先輩は恥ずかしそうに言った。
「今、十徳ナイフとして働いてるんだ」
私は安堵した。
過労死手前(140字小説) 塩塩塩 @s-d-i-t
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