metaphor

(´・ω・`)

第1部-0 まずこの話を語ろう

 1818年 ロンドン

 この仕事はいつも倫理観と生存本能の戦いだ。人を家畜や奴隷のようにいや、機械を操作させるのだ。女王のために魔法と魔術を練り合わせ、戦争のためのソフトウェアを作るのだ。そのためにはヒトたちが病気になろうが関係ない。ずっと働かせるのだ。ありがたいことに、当たり前だが命令に従ってくれる。だからぼくはそのまま働かせる。壊れない限り。

 まさしく人権など無視したようなこと。虫酸が走る。しかし、残酷なことをしないとぼくはダメなのだ、そうしないと生きれないんだ。いつもそんなことをヒトたちを見ながら思うのだ。

 

 この工場で無数のソフトウェア作成用のコンピュータを使い、ヒトたちがキーボードを叩く音がここを響かせる。作業をしているヒトたちの姿をみると、全員の目に光はなく上や右、下などソフトウェアに目を向けているものはいなく、口から唾液が垂れているようが関係なし働く姿。いつもこの姿をみるとぞっとする。君らの世界でいうば、社畜という奴を思わせるような感じで働かせている。しばらくするとドアが開く音が聞こえ、その方向に目を向けると、そこには両目に義眼をつけている大男がいた、いやどちらかというと手長足長族というべきか。この男は異様のほど手足が長く関節が柔らかく、胴体が短い。その特徴を使い、男はヒトたちが一人一人していないかを、あの特殊な義眼と手の感覚を使い調べるのだ。そうやって男は順調に調べていると、一人のヒトが頭をがっと掴まれる。どうやらヒトは「故障」しているようだ。男は人を捕まえさっきいた所にヒトを引っ張りながら戻っている途中で、人は必死に抵抗するが男は全く動じずそのままドアへ行き閉める。次の瞬間、

 グ、あば やめ いた  いた いたい 痛い!!! 痛い!!!! 痛い!!!! 痛い!!!!!

しばらくの声の後に恐ろしい断末魔の叫びが聞こえ耳を防ぐ。なんも一致ないはずなのに『助けてくれ、痛い、苦しい....』が聞こえてくる。それがぼくの心の壁が罪悪感にガリガリ削られていく。『やめてくれ、やめてくれ!!』そう思っていると同時に後ろから声がかかる。

「大丈夫ですか....もしよろしければ私が代わりましょうか?」

後ろを向くとフードを着ている高身長のガスマスクの男が救いの言葉をいう。その言葉をありがたいと思いぼくは『....じゃあ、お言葉に甘えて』と言い、そそくさと出口に向かう。出口に向かう途中プシューという煙が抜けるような音が聞こえる。ソフトウェアができ、コンピュータから出て来た音のだ。それを見たい気持ちが走ったが、早く帰りたいと思う気持ちが勝ちぼくは工場を出る。工場を出るときには断末魔は止まっていた。あの人は『人からヒトに直された』のだろう。

 

 ぼくは頭を抱えながら、工場地帯を出るため退出審査室に並んでいる列を並ぶ。並んでいる途中でぼくはあの恐ろしい修理は何が行われているのか考えていた。脳を抜いたのか。それとも電気ショックを与え、脳を改善させたのか。そんなことを思考していると、ぼくの番が来た。

『IDチップが入っている手を出してください』

口が隠されている審査官はぼくに指示をして、ぼくはそれに従う。それをすると、機械を手にかざされる。IDチップが入っている情報はコンピュータに転載され、それを食いつくように観る。まるで矛盾点があることを望んでいるように。しばらく観て審査官は『通ってよし』と言うのでぼくはほっとし審査室をでる。ぼくは審査官のあの様子をみて、並んでいる時の光景を思い出す。途中で検査員が出て来て審査してもらっていた人が捕まった光景を思い出し、ぼくはまたしても鳥肌が立ってしまった。歩いている途中でふと後ろをみると、審査官が次の人が来るまでぼくをずっと見ていることに気が付いた。それを見てしまったぼくは背筋を伸ばし急いで帰り道を辿った。途中での入室審査室に向かう人たちにはあの工場と同じような感じだが、かすかに瞳に絶望があった。


 しばらく歩いていると今じゃ見ない木のドアがあるところにつく。ぼくはそれのドアノブに手をかけてゆっくりと開ける。ギィーという音を立てたながら開くドアの向かう側には、ベッドで深い眠りについている老女がいた。老女には身体中にチューブが刺さられて、その中にあるもので生かされている。ぼくはベッドにある椅子に腰をかける。

「母さん、調子はどうだい?」

「........」

「もうすぐにね、給料が渡されるんだよ。嫌な仕事だけどそこらへんの仕事よりはお金はもらえるんだよ。確か..5ポンドもらえるんだよ!5ポンドもだよ!今ではためていたお金を足すと母さんをもっといい病院に連れることができるよ!!」

ぼくは母さんに顔を近づけて言う。そして



「...だからね....母さん目覚めてくれよ ...!!!」

そういいぼくは泣きながら言う。

「ぼくはどうすればいいだ....」

と呟き母さんに手を取り、その手をぼくの顔に押し付け泣きじゃくる。

ぐす、ぐすと泣いていると声が聞こえる。

「ああ、なんと可哀想で愚かな人間なのだろう....!!!自分の母を救うために人を別のものに変えてある仕事場に就くほどやっているのにそれでも母を救えない..あああ、なんと愚かなで美しいなのだろう!!まさに悲劇の主人公が一番似合う人間なのだろうか!!!!」

急な声が聞こえ、ばっと後ろを振り返ると、男がいた。こんな場所、スラム街に合わない執事の服を身に纏り、黒髮で端正な顔をしている異様な男がいた。異様というのは、彼の目の強膜の部分が黒く染まり、瞳は金色だったからだ。そんな男がニィーという口が裂けそうほどの三日月形の笑いを浮かべて、狂気的な瞳を浮かべている。一瞬ぽかーんとするが、すぐに気をしっかりし、母さんを守るように立ちはだかる。

「お前は誰だ...」

ぼくは護身用に身に付けていたナイフを取り、戦闘のポーズをとる。

その姿を見た彼は慌てて。

「やめてください...そんな物騒なこと、私は貴方と貴方の母をとって食べる訳ではありませんよ、あ、ちなみに私の名前はトラジェティーです。」

「名前を聞いてんじゃない。お前は何をしに来たか聞いているお前は強盗か!!」

「それこそおかしいですね。高貴なる私が盗みや金に困る訳でもないのに」

「....何をそんな警戒しているのですか、私はただお話しをしたいだけなのです」

その話を聞いて一瞬ピクリとする。話?どういう意味だ?好奇心と危機感がせめぎ合ったが、最終的に好奇心が勝ち、自分のその話に乗ることにした。

「..いいだろう。話を聞いてやるが、少しでも変なことをしたら、このナイフでお前を切る」

「ありがとうございます」

そういい、完璧なお辞儀をし、彼は話す。

「さて、あなた様も苛々しているようなので、単刀直入に言います。私と、悪魔と契約をしませんか?」

「はぁ?!何を言っているか全くわからない」

「つまり、私は悪魔であり貴方と取引をしたいということです。」

「違う、悪魔であることがわからないということだ!」

「....ふむ、ではこういうことを見せるばいいのでしょうか」

彼はそういうと、中指と親指を合わせ、ぱっちんと指を弾く。指を弾く瞬間ぐちゃという音が聞こえ辺りは赤い物体と赤い液体が飛び散る。ゴロゴロと音をしている方を向くと頭があった。ひっと言うことを彼は聞くと。

「この虫は、ここを盗もうとしていたクズ虫です。ちょうどいいところにいたので殺しました」

信じてもらいましたかと笑顔をぼくに向けていく彼に何回目になるだろうか、ゾッとしてしまった。触れずに人を殺し、相手を殺しても笑顔にいられる姿に怖さを覚えた。まさしく悪魔であることをこの場面でわかった。

「....わかった。お前が悪魔であることがわかったが、その契約というものは代償が生じるのだろう」

「さすが!!!私が見込んだ人間、普通の虫たちはホイホイと契約を結び何かを失うば、怒る有象無象なのにあなた様は代償が出るとわかる!!ああなんと素晴らしい人か!!」

彼はハッと気づき、一回咳払いをする。

「失礼...代償をいう前に契約内容です。まず一つ目は母親を救えるほどの力と富を与えること、二つ目に私があなた様を全力でサポートすること。三つ目はそうですね....秘密なことにします」

「はぁ?!何故お前は三つ目を教えな「代償についてです。あなた様の代償はある場所に行ってもらいます。あと、肉体的代償はあなた様の左目の視力をください」

彼はそういい、細長い尖った指をぼくの目に向ける。

「....いいだろう。それでいいのなら」

「ありがとうございます!契約を今から結びます、手を出してください」

そういい、ぼくたちは契約を結んだ。

 この契約がぼくの人生をさらに苦しくさせることに気づかなかった。




 

 

 

 

 

 

  

 

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