出だしはよく見る展開ながら、要素のひとつひとつが丁寧で高品質

(最新15話の時点で)

 私は以前よりテンプレ(悪い意味ではなく)から始まる作品を読むと、『お約束の展開は特に掘り下げることなく流す』ような書き出しで始まることが多いなぁと感じることが度々ありました。
 ですが本作品は、主人公の生活や立場、ヒロイン(に含まれるのかは分かりませんが)の幼馴染との仲などから丁寧に書かれており、それによって最近飽食気味な『記号的な寝取られ』になることなく登場人物たちの心情や言動にも自然な説得力を感じました。
 例えば追放や寝取られの顛末は理不尽な理由によるものが多く、何ってんだコイツと突っ込んでしまうこともしばしばなのですが、こちらのギルド長の言い分はむしろ納得してしまいましたし、幼馴染の浮気の理由や後悔の様子にも妙にリアリティがあって、辛さはあれども不快感はありませんでした。

 そういった細部の人間味の作りこみが、本作品の魅力のひとつなのではないかと思います。キャラクター同士の距離感が適切だと会話が台本臭くならないんですね……

 また主人公の能力も何世代か前よりよく見る名称ではありますが、現時点ではよく分からない不気味さがあり、そのあたりが本作品の個性になっていくのかなと期待しています。

 続き、楽しみにしてます!

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