収穫編
はい、収穫編です。昨年の9月に植えたほうれん草を育て続け2月上旬に収穫しました。ベランダにでてほうれん草の根っこ部分を少し掘り出してみたのですが、ちょっとした大根みたいな大きさになっていました。小さな種から大きく強靭に成長したのを見て、みずみずしい生命の強さを感じました。そんな命を頂く覚悟を決めて、キッチンバサミで根っこを何度か切り、収穫しました。切断部からはさっきまで活動していた痕跡が見受けられたので、とりあえず土に埋めておきました。
さて、いよいよ待ち遠しかった料理の時間です。自分で育てたものを自分で料理し、そして食べる。日常に潜むロマンを叶えるために行動した自分に自信がついてきます。さあ、後は水洗いしてパスタに添えるだけです。パスタを用意するためにパスタとパスタソースを探します。しかし、現実は無常なのです。いくら探してもパスタソースが家の中から出てくることはありませんでした。こうしている内にほうれん草の鮮度が落ちていくように思え、今できる最善策を取るしかありません。
とりあえず冷蔵庫を物色したら起死回生の一手となる調味料を発見したので、これで料理するしかありません。鍋にお湯を張り、収穫したほうれん草、長ネギ、あさりを入れぐつぐつと茹でていきます。そして先程の調味料を溶かし味つけをし、完成です。
完成したのは、味噌汁でした。最初に思い描いていたおしゃれな葉っぱを乗せたパスタは、ほうれん草の味噌汁に変貌しました。ここは食べてみて美味しかったらそんな変わらないので気にしないようにしましょう。五か月育てた命の味はさぞ美味しいのだろう、と思い食べてみて最初に頭に浮かんだのは疑問符です。あれ、ほうれん草ってこんな苦かったっけ。噛めば噛むほど苦みが広がってくる。そんな味噌汁の苦さを噛み締め完食した私は、自然とこう思っていました。次の植物はきちんと美味しく育てあげてみせる。そして、おしゃれなパスタを作り上げるのだと。
振り返ってみると、今回私が行ったほうれん草栽培は、手軽に感動を味わえて生活に彩りを加えてくれるものでした。大変な社会を生きていく中での支えとなる些細な幸せを作り上げるのは、意外と身近な生命なのかな、とも考えてみたり。新しい趣味を始めるのには労力がかかり大変です。しかし、新しいことを知ったり感じられリフレッシュになるので、とりあえず何事にも最低限の道具をそろえてやってみるのがよいかなと思います。ここで、ほうれん草編は終わりです。ここまで読みにくい文章を読んでくださった方、ありがとうございました。次回、メリッサ編に続きます。
植物の牢獄 浅里 幸甚 @sakamushi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。植物の牢獄の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
雑記ノート最新/涼格朱銀
★18 エッセイ・ノンフィクション 連載中 227話
創作活動日記最新/囀
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 23話
過去と現在の狭間に最新/藍色の星 みり
★5 エッセイ・ノンフィクション 連載中 59話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます