世界
それ以来、死んだ後の世界を想像しては行ってみたいとばかり思っていた。鈍色だった世界がほんの少し、色付いた気がしたのだ。どんな世界だろう、鮮やかだろうか、賑やかだろうか、面白いのだろうか。
別にこの世界に留まっている理由も無いし、自分で確かめるのもありかも知れない。だって私が“私の人生”という物語の書き手なのだから。これは取材である。もし続きが気に食わなければそっと書き終えればいいだろう。誰も読むことの無い、ひっそりと佇んでいる小さな小さな物語、そろそろ‘転’に移行すべきだろう。
膨らみ続ける好奇心はいつしか自分を動かすだけの強靭な力を持っていた。
私は決意した、死後の世界に取材に行く、と。
取材の準備はさほど大変では無かった。
自分が知っている場所の中で一番高い所を探すだけだった。
いざ確かめに行こうとしたその時、私は誰かに呼ばれている気がした。
死後の世界からだった。引き寄せられるようにその世界へ飛び込んだ。
痛くはなかった。
ただ、満足感だけが漂っていた。
鈍 @rei_dabunmaker
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