シルビアとルイの決断 〜その後の物語〜
シルビアの真実を聞いた次の日。
ルイはシルビアの真実について、いつ話すべきか悩んでいました。
シルビアの真実を知ることが出来たのは良いことだ。でも・・・その話を聞いて記憶が戻り、家を出ていってしまうかもしれない・・・。
でも、それが約束だから・・・。
「ルイ・・・大丈夫?」
シルビアはルイがため息をついて考え事してることを心配して、声をかけて顔を覗き込みました。
「大丈夫。心配させちゃったね。さてご飯にしようか」
ルイは微笑んでシルビアの頭を撫でて、ご飯の支度を始めました。
シルビアはルイがおかしいことに気づいたけど、余計なお世話になると思い、おとなしく椅子に座りました。
数日後。
「ねぇ、シルビア。話があるんだけど少しいいかい?」
ルイは決意した顔でシルビアに声をかけました。
シルビアはルイからの声掛けに頷いて、椅子に座り真っ直ぐルイを見ています。
ルイは深呼吸をした後に静かにカリムから聞いた話をシルビアに伝えました。
話を聞いたシルビアは話を聞いている間、ルイの目を見て話を聞いていたが、話が終わるとうつむいてしまいました。
ルイはそんなシルビアを見て、やっぱり話すべきじゃなかった・・・。と後悔していた時、シルビアが顔を上げて話を始めました。
「話を聞いて、思い出したよ。」
シルビアはそう言うとぽつりぽつり話を始めました。
隣町で奴隷として雇われている時、失敗すると罰として暴力を振るわれていました。
そんなある日、その日もシルビアは失敗をしてしまい、暴力を受けていました。
そんな時、頭を強く打って気を失ってしまいました。
そして主様に捨てられてしまい、意識が戻ると記憶が無くなっていて、ここがどこで自分が誰なのかわからなくなっていました。
それからシルビアは無意識に歩いていた時、あの森にたどり着いてルイと出会いました。
それからはルイとの生活が楽しくて、記憶を戻したくないと思っていたこと。
ルイに対して特別な気持ちがあること。
ルイと離れたくないことを涙を流しながら話してくれました。
ルイは話を聞いてシルビアに近づくと、座ってるシルビアに後ろから抱きついて耳元で一言言いました。
「俺はシルビアが好きだ。ずっとこの家に居てくれ。」
その言葉を聞いたシルビアはルイの腕を両手で掴みながら
「はい。喜んで」
と笑顔で言いました。
ルイは返事を聞いてシルビアの肩に顔を乗せて喜んでいました。
数日後
ルイは数日前のお礼と報告を言うためにカリムと酒場で会っていました。
「おおう!おめでとさん!ルイにもとうとう・・・そうか・・・。実の親のように嬉しいぜ。」
カリムはルイから話を聞いてとても喜んでいました。
「カリムおじちゃんのおかげだよ。ありがとう。」
ルイは笑顔でお礼を言うと、カリムは上機嫌で言いました。
「よっしゃ!今日はお祝いだ!ルイの家でお祝いだ!俺にもシルビアさんに挨拶させろ!」
ルイは嫌な顔をしたが、カリムは言い出したら聞かない男だと知っていたので、諦めてため息をつきました。
「わかったよ。じゃあ、食べ物とか買って家に行こう」
ルイはそう言うとそそくさと立ち上がり、お店の外に出ました。
そして食べ物などを買ってカリムと家に向かうのでした。
それから家に着いてルイが料理などを作ると、お祝いという名の宴会が始まり、どんちゃん騒ぎでした。
「いや~シルビアちゃん、また一緒にご飯食べよ~ね!ルイもシルビアちゃんを泣かせるんじゃないぞ!」
カリムは帰り際にそう言うと、手を振って帰っていきました。
ルイは疲れた様子で片付けをしているとシルビアが近づいてきました。
「ルイ、手伝う。」
「いいよ。突然カリムおじちゃんが来て疲れたでしょ?休んでていいよ」
「ルイだって疲れてる。それに2人でやったほうが早く終わる。」
ルイの言葉を聞いたシルビアが答えるとルイは降参して一緒に片付けをしました。
「カリムおじちゃんうるさかったでしょ?急に家に行くって言われて断れなかった。ごめんね」
ルイが謝るとシルビアは首を横に振って言いました。
「ううん、とても楽しかったから気にしないで」
シルビアがそう言うとルイは笑顔で「そう言ってもらえると助かるよ」と言って2人で笑い合いました。
~END~
あとがき
皆様、最後まで読んでいただきありがとうございました。
シスコンな弟が溺愛すぎて困ります!もどうぞよろしくお願い致します。
記憶喪失の少女と1人の少年の物語 鳴神 祈 @inorin0110
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