あなたの特技はなんですか?

 私には人にコレです。と胸を張って言える特技がありません。

 では胸を張れないものならどうでしょう。

 それならあります。

 嘘です。


 こう書くと二通りの意味があって分かりにくいですね。

 胸を張れない特技があるっていうのが嘘なのではなく、胸を張れない特技が嘘を吐くことという意味として受け取って欲しいのです。


 もう一つ勘違いされそうだから言っておきますと、何も私は稀代の大嘘吐きだとか詐欺師なわけではありません。

 だから通報とかしないでもらって大丈夫。

 私はしょうもない嘘を平然と本当のように話すことができる小者こものです。


 しょうもない嘘ってどんなものか。

 そんな疑問にお答えすると、例えばそうだな。


 昨日見た夢の話なんだけど、高いところから落ちる夢でさ。私ってほら高所恐怖症じゃん。だから起きたらすっごい寝汗かいてて気持ち悪くってさぁ。パジャマなんかもうぐっしょぐしょになってるわけ。だから着替えて、まだ起きているには早い時間だったからもう一回寝たんだけど。また同じような夢を見ちゃってさ。落ちる夢。マジで最悪なことにまた寝汗かいてんの。ぐっしょぐしょに。朝から二回も着替えるとかある?


 はい。どうでしょう。どこが嘘でしょうか。

 正解は………。

 そんな夢は見ていないのでほぼ全部です。

 高所恐怖症っていうのは本当で、あとは適当ですね。


 私の吐く嘘がどんなものか分かって頂けましたか?

 しょうもないでしょう?

 だって私がどんな夢見たかなんてどうでもいい話なんですから。


 でもほらよく考えてみてくださいよ。

 聞かされる方が興味もない話題で嘘を吐いたら、その嘘ってほぼバレないんです。

 だってその話。深堀りしないでしょ。

 興味ないんだから。

 まんまと騙されてくれるってわけです。

 まあ騙されたところでなんの被害もないわけですが。

 

 どうでしょう。

 これって特技って言っていいと思いませんか。

 私はバレない嘘を吐くことが出来ますって。


 何言ってんだ。俺は落ちる夢を見たっていうのが嘘だって気付いたぞ。

 そんなことを言う人がいるかもしれません。

 でもそれって、私が嘘の例を挙げるって言ったからですよね。

 これを明日の朝とかに知人に言われて、嘘って見抜けますか?

 私には無理だと思いますよ。


 はあ?見抜けるけど?

 なんて言うそこのアナタ。

 ならばあなたの特技は嘘を見抜くことです。

 おめでとうございます。特技が見つかりましたね。



 では話を進めまして。

 何故私が嘘を吐くのが得意になったのかという話をしていきましょうか。

 多分これだろうなってものが思い当たります。

 それはですね、しょうもない嘘を何度も繰り返し吐いてきたからです。


 思い返せば小学生の時分には、しょうもない嘘がバレました。

 それがどんな内容だったのかは伏せさせて頂きます。

 何故なら万が一、億が一にもそのとき嘘を見破った人物がこれを読んでいる可能性を考慮して、身バレを防ぐためです。

 身バレコワイ。

 これ書いたのお前だろって言われるのが怖くて仕方ありません。

 私は小説を書いてるって周囲に言っていませんから。

 嘘です。

 小説書いてるって言ってます。


 はい。嘘を一つ挟んだところで戻ります。

 嘘を吐いのがバレた幼き私は、その時どうしたでしょうか。

 嘘がバレた時、人には二つの選択肢があります。

 嘘だと認めるか。

 もしくは嘘ではないと嘘を吐くかです。

 私は後者を選びました。

 何故なら嘘吐きって思われたくなかったからです。

 嘘吐きだって自覚がありながらも嘘吐きだと思われたくないだなんて。

 なんて滑稽でしょう。

 でもそうなのだから仕方ありません。

 だから嘘を吐きました。

 その繰り返しです。

 嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐いて嘘を吐き続けた結果、私は平然とバレないような嘘を吐くことができるようになっていました。


 もしも嘘が吐くのが下手で悩んでいるという稀有な方がいらっしゃれば、嘘を吐き続けることをお奨めします。

 でも詐欺師にはならないでくださいね。

 それは犯罪ですから。

 私が切っ掛けでそんな罪を犯したところで、私には責任を負えませんから。

 これは嘘ではなく、マジで!



 ここまで読んでくれてありがとうございました。

 ではまた会えればお会いしましょう。

 さようなら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

徒然なるままに人生振り返り 足袋旅 @nisannko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ