徒然なるままに人生振り返り

足袋旅

最古の記憶

 あなたが覚えている一番古い記憶は何ですか。


 私は多分これだろう、というものを覚えています。

 ただこれが本当にあった記憶かどうか。

 真偽のほどは分かりません。

 人間というのは勝手に記憶を捏造するそうですから。

 はい。何かのテレビで言っていた受け売りの知識です。


 では誰かに聞いてみてはどうか。

 一人にはもう聞けません。

 亡くなった母方の祖父ですので。

 では母親ならどうか。

 何せもう年老いているので覚えているかどうか。

 もしかしたら覚えているかもしれませんが、私は聞きません。

 だってそうでしょう。

 聞いて何になるんですか。

 まあそんな他愛無いどうでもいい話を、私は今からするわけですが。

 誰が興味を持つんでしょうね。

 ところであなたは、なんでこれ読んでるんですか?

 暇だったんでしょうか。

 暇、潰せるといいですね。

 

 なんだか煽ってるように聞こえたらごめんなさい。

 ただ疑問だったもので。

 読んでくれることに感謝はしてるんですよ。これでも。

 ありがとうございます。

 では聞いてください。



 それは季節的には春か初夏といったところでしょうか。

 なぜかといえば、地面の芝生が青かったからです。

 私はハイハイで移動していたので、一歳くらいでしょうか。

 なにぶん私は子持ちではないので、ハイハイを始めるのが何歳なのか分からないのです。

 調べろって?

 嫌ですよ。面倒くさい。

 とにかくハイハイするような子供の頃の、気温が暖かな時期です。


 私が小学生の時分に住んでいた一軒家。

 その庭先に面した廊下での出来事です。


 軒先に腰掛ける我が祖父。

 晩年ふさふさの白髪頭に笑顔が可愛らしい、こうなりたいと思える理想の祖父でした。

 彼が軒先に座っています。

 古い記憶ですから、その時はどんな様子だったかはうろ覚えです。

 私がはっきりと覚えている祖父像よりも、当然若かったことでしょう。

 とにかくそこには若かりし祖父がいたと記憶しています。


 何が楽しかったのでしょうか。

 私はハイハイで彼に突撃します。

 ですが狙いは実は彼ではなかったようで、軒先から庭へと私はフライハイしました。ハイハイだけにってね。

 すみませんでした。

 陳謝します。


 とにかくその瞬間。

 人間は空を飛べませんので、当然落下します。

 死の危険を感じたのでしょうね。

 スローモーションで地面が近づいてくる様がまざまざと視界に映ります。

 実際には私は地面に近づいているわけですが、落ちている人間にはそう見えるという話です。

 揚げ足はとらないでください。


 祖父は落ちる私をキャッチできなかったようで、私は地面へと落ちました。

 ええ、それはもう泣きました。

 ギャン泣きってやつです。はい。ハイハイだけに……。

 もう言いません。


 祖父に抱き上げられ、あやされ、そして母へとバトンタッチされました。


 記憶はここまでで途切れます。


 これが私の最古の記憶なのですが、いかがだったでしょうか。

 どうでも良かったのではないでしょうか。

 そうでしょう?

 聞いて良かった事といえば、あなたが持て余した数分の時間を潰せたということでしょうか。

 時間を無駄にしたともいえるわけですが。

 時間を返せだなんて言わないでくださいね。

 私もこんなものを書いていたせいで貴重な時間を失っているわけですから。

 おあいこです。

 


 今後もこのようなものを気ままに書いていこうと思うのですが、途中で面倒になって書かないかもしれません。

 私は飽きっぽいのです。


 蛇足かもですが、何故初めにこのエピソードなのかという話でもしましょうか。

 人間の記憶はどうにもだというのを語っておきたかったからです。

 嘘です。

 後付けの理由です。


 それにですよ。

 このようにノンフィクションの出来事を書き綴っていても、本当にそれが実際にあったことかどうか分かりませんよ。とも言い訳も並べておきましょう。

 私が意図的にノンフィクションと言いながら、嘘を吐いてフィクションを書き始める。なんてパターンもあるかもしれません。

 本当に思いつきで書き始めたので、何も決まっていないのです。



 ここまで読んでくれてありがとうございました。

 ではまた会えればお会いしましょう。

 さようなら。

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