尋ね人

キンコン、と鐘がなった。

ここはピアニッシモ邸。

ピアニッシモ・アリアの召使である若い女が玄関の戸を開ける。

そこにはフードを被った男が立っていた。

身長はそれほど高くなく、165cmほど。

「な、、、どちら様でしょう?」

女が聞くとその瞬間、

男は右手に持っていたナイフで女性の喉元めがけて切りつける。

血しぶきが舞い、男の顔面が赤く染まる。

そのまま男はピアニッシモ邸に侵入する。

だれも不審な暗殺者の侵入には気づかず、

次々に人が殺されてゆく。

仲間の変わり果てた姿に恐怖し、逃げようとする家人たちが殺され、

ついに男は最深部、アリアの書斎へとたどり着いた。

男には相当の自信があった。

今までどの仕事も失敗したことがなかった。

顔を見られれば殺し、後ろをつけられれば殺し、仕事を見られれば殺した。

男は荘厳なドアのノブに手をかける。

そのまま体重を前にかけ、転がるようにして部屋に入ると、

驚く様子もなくこの屋敷の主、ピアニッシモ・アリア氏が新聞を読んでいた。

男はわけもわからず立ち尽くした。

だが油断は微塵もない。

ふと、アリアが口を開いた。

「家族のような、ものだったわ……」

この家での惨劇には気づいていたようだ。ではなぜ…

「ではなぜ助けに行かなかったのか、という顔ね」

男の警戒は一層高まる。

「私は創世の一族、一介の殺し屋に殺されては先祖が悲しむじゃない」

「どうせ……死ぬ、俺がここに来たのだ」

「あら、自信満々ね」

「勿論だ、私は標的を殺し損ねたことがない」

男は投げナイフを懐から取り出し、アリアに投げる。

しかしアリアにあたる前にナイフは弾かれる。

男が気付いた時には、自らの投げナイフが自分の眉間に突き刺さっていた。





「今までの標的さんは、遺物が使えたかしら?」



ピアニッシモ家 遺物____静穏の盾

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儚い子羊の反乱 高望み男 @takaminokenbutu

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