第24話⁂犯人!最終話⁂



””ガサゴソ””

メイがシャワ-を浴びてビ-ルを飲もうとするとカーテンに隠れていた初美が

出て来ます。


「キャ————!アッあなたは誰なの?」


「私は大学時代からの賢伍の友達の初美よ、賢伍と結婚するって本当なの?」


「結婚したいと思っています。それより一体どうやってこのマンションに侵入出来たのですか?」


「だって複合型マンションだから人の出入りが多いから侵入しやすいのよ?私は防犯カメラに映るのが嫌だからエントランスを通らず裏口知っているからそこから3階のこの部屋に来たの。このマンションもう40年経っているでしょう。以前は賢伍このマンションの部屋から会社に出勤していたので私何回も来たことあるのよ!その時に合鍵作っていたのよ!以前から親元を離れた従業員をこの部屋に住まわせていたわ、その人が辞めたからあなたをこの部屋に住まわせたのよ、それよりもお願いだから結婚だけはやめて!」


「嫌よ!私だってやっと幸せになれると思ったのに?初美さんの話なんか一度も聞いた事無いわ!」


「だってそんなに会っていないし、今までも私が重要な話しが有ると言ってもたまにしか会ってくれないのよ、夫も亡くなってやっとこれから自由に会えると思ったのに、私は賢伍とかれこれ40年の付き合いが有り、ましてや子供まで授かっている身なのよ、それなのに横から割り込んで来て賢伍をさらって行こうなんて許せない!賢伍から手を引きなさい。さもなければ刃物であなたを刺し殺してやるから!」


「いい加減にしてください!あなたの言っている事は信じられない!賢伍は大人の女性を愛する事が出来ないの、小児性愛者なの、私だって賢伍とは何も無いプラトニックな関係よ。それなのに何故子供が出来るのよ?あなたは絶対噓を付いている!」


「それは違う!学生時代から賢伍の掃除や洗濯の世話でよく賢伍のマンションに出掛けていたのよ。そこでそんな関係になった事があったの!」


「そんな事絶対違うわよ!DNA鑑定してみないと分からないでしょう?」


「DNA鑑定の結果が出たのよ、やっぱり賢伍の子供だったの、だからあなたは諦めなさい!」

「そっそんな事絶対に出来ません。」


「お願い諦めて!それから元妻の美登里さん等々子供出来なかったでしょう?だから賢伍と私の息子譲をどんな事をしてもあの家の跡継ぎにしたいの!DNA鑑定で親子である事も証明もされたし、あの家の財産は全て息子の物よ!だからあなたは邪魔者なのよ!諦めなさい!」


「フン!残念でした!あの家には養女の江梨菜がいます。仮に遺産が貰えても半分です」


「江梨菜って誰!」


「賢伍が女として唯一愛した私の姉、江梨菜という非常に美しい女性です。ですが姉はすでに結婚しています。ですからこれからは私が支えて行こうと思っていたのです。私は今までず~っと賢伍さんの下で仕事を共にやって来ました。賢伍も私といる時が一番安らぐと言ってくれています。だからあなたこそ賢伍の為にも諦めて!」



「メイさんその若さで結婚したいって、どうせ遺産狙いなんでしょう?あなたの事だけでも許せないのに、そんな女が居たから私と余り会おうともしなかったのね。許せない!それでもDNA鑑定次第では考えても良いような事は言っていたな?それはそうだわ!自分の血の繋がった唯一の息子がいるのに今更自分の息子より若い娘と結婚なんかしないと思うわ!真実が分かった以上賢伍があなたを取るか実の息子を取るか見物ね?ウッフフフフ フフフ!」


「賢伍さんと親子だって事は息子の譲さんは知っているのですか?」


「まだ夫が亡くなったばかりで喪も明けていないのでそんな話は一切していません」


「アアアア~!そういう事?じゃ~!あなたが死ねば何もかも分からない、全て水の泡って事ね?あなたこそ死ねばいいのよ!誰があなた達なんかに!」


持っていたビールを””ボッカ~ン!””と顔にぶつけてキッチンの包丁を取り出し初美目掛けて突進して行きます。

「ナッナ何をするのよ!賢伍と財産は私達の物よ!」


その時初美がすかさず両刃の刃物でメイ目掛けて突き刺します。

するとその刃が運悪く心臓に突き刺さりメイは一瞬でバタリと倒れます。

それでも懲りずに刺し続けたのです。


そして数十か所刺して非常階段から逃げたのです。

あいにく夜の為に目撃情報も無く数日が経過したのです。


初美の血痕が部屋から検出されて厳しい事情聴取を連日連夜受けています。



弁護側は「被害者側に缶ビールを投げつけられて、刃物で襲ってきたことに対しての正当防衛だった」と主張していたが、裁判長は「妥当で許される範囲を超えた過剰防衛」として退けたのです。。


◆「自己本位な正義感」


永山初美被告の反撃は、メイさんが抵抗できなくなってからも続いた。解剖医によると、女性の胸部、腹部には「刃物で刺された数十か所の殺傷痕」があったのです。その為弁護側が主張した正当防衛は、認められなかったのです。


裁判長は「極めて危険な犯行」として懲役4年6月(求刑懲役5年)を言い渡したのです。

初美も愛する賢伍と結婚したくて、又息子を賢伍の跡継ぎにしたいから邪魔になって殺害したとも言えず刑に服しています。


江梨菜は苦労の連続の中、壊れそうな危険なガラスの階段を時には笑い、時には涙して自らの努力と不屈の精神で乗り越え上り詰める事が出来ました。


メイは志半ばであっけなくこの世を去りました。


二人の人生は今となっては幸、不幸に別れますが?

決してそうでは無かったのだと思います。


何故ならば光り輝く世界を掴み取るという事はそれだけ裏にはもっと、とてつもない闇が潜んでいるという事も事実なのです。

全てではないですが???


江梨菜は本当に幸せ者です。


一方のメイは一見不幸な女性に映りますが?

実はそうではありません。

少女の頃から死ぬまで愛する人の傍を片時も離れずにいる事が出来て、ましてや死に間際に結婚の約束までして貰えた。


短い人生でしたが死顔は安らかなこれから愛する人の元に向かう⭐*⋆✰・。*◍。✧♡そんな喜びに満ちたものだったのです。


8月某日丁度お盆の時期。

今年のお盆はやけに灯篭の周りを無数のおびただしいホタルの光の粒が火の粉状になって舞い上がります。


それはまるで黄泉の国へと続く花嫁道中のように闇夜を美しく照らし出しているのです。


【灯篭は故人があの世で迷子になるのを防ぐため、道標となる灯を用いるという意味もあるのです】


終わり














  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エンドレス**⋆硝子の階段*💛⋆ あのね! @emcay91667

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ