とめどなく。厳しさに欠ける 「優しい世界」 #深夜の二時間作詩

とめどなく。厳しさに欠ける

ただ砕かれた杜を双眸に悴む小さな恋の、

下方を掻い潜る水面をめらめらと這い蹲る炎が

骨の芯から髄まで、しゃがれこむのか

仄仄として 空けつく地平が薄化粧のように


東雲の残り香をする

すさまじき かぜと、そう、なめる


包容の猥雑差に、丹念に燃やされた寂寞を想う

始まりがあり、終わりがあるのは 然し。

記憶が水没して姿形もなくなる瞬間を

自分が自分で無くなる時に身取れるのが

傍らにいるものの末路と望めば


私たちの交換日記はどこが起点に当たるのかな

絶え間なく流れ続ける タグに触れて釦を填める

「赤子なのだよ」呆けた瞳で云う。

――これは、弱者として

切り分けられた塩分を まぶたの裏側に

押し当て 焼き上がるまで、少し、散歩でもするかな


乱切りにされた表情が 夕暮れにしわを寄せ

うまく言葉に出せないまま 水のそこに焚べる

労るように漂う 無意味な和金の群れが

心なしか明かりを 素振りを介添する

夜光虫がただただ青白く漂う

時だけがごっそりと 私に優しく 正しく 見せつける


あゝ 呼んでいるのか


白い息が吹雪に変わる。

花のような渦を巻き 唇から脱色したような 光が砂に戻る、

新紙ように薄く儚く燃える夢が 粉を叩いたような鴉の姿を

眩しげに映し出す。たおやかな湯気がぼおと残る、


丘の上の

白亜の空が

散り積もるだけの 夜の底が。

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拈圖 詩 詞梳記(ことばとき) @kotobareika

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