褪色 #深夜の二時間作詩 「記憶」

 ##褪色

 便りを紐解いて 過去に接続する。静かなる鎮守の杜を呼び起こし、また 揺り動かすのか

 プラグは錆びて映写機は廻らないのに、駆け下りるは揺り籠の唄。土壁の建物に光の旅人と識る

 座り込んだ私は 満開の桜のもとで、敬意と春愁をて、それとなく首を振るだけ

 仮想メモリーを抜く。その先に何があるのか。応えはないのだと あやまりもなければ、

 正気ではない呂律で引き寄せるうたかたにおもわずらう、みな人魚の抜け殻を飼っている

 箱庭のパズルは色のない階層をその手と手のあいだ、乾いた海面と柔軟な体躯を綯い交ぜ、

 開放するように焚き付けては頬に、甘えと不安を まぎらわしく這わした生々しさよ

 横向きに倒れた野花が発芽して 施しようが見つけられない。いまにして自然におもうとき、

 現実に変える。黴の生えた心に嗅覚と感情を頼りに、未来を描くように愛惜いとおしむ

 曖昧な呪縛で朝靄を辿るような旋律のときを事実と重なり逢わせ、取り出される

 やわらかに浸蝕する定かではない昇華と消失。詩箋と口移す虚ろ風穴に透き通るもの

 あなたをつくりだす、束ねのような模造紙にはきっとまだ、見つからない礎が眠る


午後4:38 · 2022年3月13日

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