しゃぼん玉、飛んだ。

@BeeHouse

第1話 信号が青に変わる

「昨日未明、地球連合軍が、宙球に向け、SALLOWを派遣しました。今後一層、地宙間戦争は激化すると予想されるでしょう…」


朝から物騒な話題がテレビから流れていた。

戦争が激化すれば、死ぬ人が増えるだろうけど、まあ、どうでもいい。

知らない人が死んだところで、俺は何も感じないし、何か困る訳でもない。

仮に知ってる人が死んでも俺は何も思わないのではないだろうか?

人は死ぬ。ありふれた言葉かもしれないが、それが早いか遅いかだけだ。

こんな世界で生きていたって、良いことは多くはない。とはいえ、死んだって良いことがあるとも思えない。

その上で、生きているのは、「生きる」ということが人間設計の部品に組み込まれているからだと思う。

これは単なる自論。暴論。


そんな下らないことを朝食を食べながら思っていたら、学校に行く時間になっていた。

正直、気乗りはしないが、むしろ、行きたくないのだが、行かなくてもやることもないので、結局繰り返しの毎日を送っている。


家を出る際、先程のニュースを思い出した。戦争破片がこれから増えそうだなと思い、鉄傘は持って家を出た。ため息が出る。足が重い。鉄傘も重い。



駅から降りると、たくさんの学生が同じ方向に向かって走っている姿が見える。


「おはよう」

「おは〜」

「うぃっす」 

「ギリだぞ!」


各々思い思いの挨拶でコミュニケーションを交わす学生たち。

その中の一人が、僕にぶつかりながら、謝りもせず、友人と共に、駆けていく。

登校時間ギリギリのこの時間帯はいつもこうだ。まだ走らずとも間に合う訳だが。


俺にはそんな朝から笑顔で挨拶できる友人もいないので、一人でトボトボ学校に向かう。


運悪く最後の信号に捕まる。

リストデバイスで時間を確認する。

さすがにギリギリすぎる。

周りには学生も居なくなっていた。居たのは同じく信号に捕まっている女子生徒ひとりと俺くらいだった。


信号が青に変わる。毎日毎日赤と青に変わるだけ。なんとも退屈なやつだ。

かくいう俺も、寝て起きての繰り返しなだけな生活だが。

少し急ぎ目に歩みを進め、校門を目指す。


校門には戦争破片シールドを展開しようと教員が操作をしているところだった。

こちらに気づいたようだ。


「急いで!時間だよ!シールド展開しちゃうから」


小走りするフリをしつつ、校門に到着。


「君が最後かな?ほら!早く入って」


そう言えば、さきほど信号機にいた彼女は歩くのが異常に遅かった。何しているのだろうか?制服は同じ学校の生徒だと思ったが。


「おはようございます。たぶん僕が最後じゃないです。来る途中、お年寄りの荷物を持って助けてた生徒がいましたから」


あら?そうなの?と先生は少し遠くを確認する。


「とりあえず君は早く教室に行きなさい。遅刻になるわよ?」


意味のない軽く会釈をし、教室に向かった。


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