第9話
「ただいまぁ~」
と言っても誰もいない。両親は二人で出かけているのだろう。
「手洗ったら部屋で待っててくれ~」
「は~い。」
確かお菓子があったなと思い、一度台所へ向かった。
「お、あったこれこれ。たまにはコーヒーでも出してやるか。」
コーヒーを淹れ、桜が待っているであろう俺の部屋に戻った。
「すまんまたせたな。」
「おわぁ!!入るときはノックくらいしてよ!」
「いやなんで自分の部屋はいるときにノックしないといけないんだよ。」
部屋に戻ったら桜が布団の中に入っていた。こいつ眠いのか?
「てか、寝るなら自分の部屋に帰れよ。」
「ま、まぁいいじゃん!!」
「まぁいいか。」
「まぁいいのか、、、」
「コーヒー飲むか?」
「ありがとう!たまには気が利くね!」
「たまには余計だ。」
「、、いつもだね。」
「お、おう急にどうした?」
桜は何かを覚悟したような顔をした。
「たまには!ゆっくりお話ししよ!」
「いつもしてるじゃん。」
「そうだけど!ほら!恋バナとかどう!?」
「恋バナなぁ。」
「気になる子とか!好きなタイプとか!」
「桜の恋バナ聞かせてくれよ。そっちのほうが面白そうじゃん。」
「恋なんてしたことないよ!!」
「じゃあなんで恋バナ振ったんだよ、、、」
「ノリ的な?」
「じゃあタイプは?」
「ええと、優しくて、一緒に居ると楽しくて、なんやかんや言いながらわがままも聞いてくれて、かっこいい男の子かなぁ。」
「理想たっか。そんな男本当にいるか?」
「い、いるよ!!」
「よく言い切れるなぁ」
苦笑交じりに言う。
「いいから雪人の好みのタイプは?」
ううんと悩む。ん?
「俺そもそも女の子と関わりなくないか?」
「それは嬉しいような悲しいような嬉しいような。」
なんで嬉しいんだよと心の中で突っ込んだ。
「でもさ、桜みたいな話してて楽しい子が良いな。」
「私みたいな、、、、うう、、、」
「どうした?」
「なんでもないです。」
「まぁそんなところかな。てか経験ない同士で話しても盛り上がらないぞ。」
「そ、そうだね。恋バナはいいや。」
その後。何時間か他愛のない話をして、桜は帰った。
たまにはこういうのもいいな。
アニメオタクと幼馴染 エニシア @enithia_0410
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