第8話

昼飯を食べるためにフードコートに来た。各自で食べたいもの買ってきて揃った。といっても桜は俺と同じものを頼んだのだが。


「なんで同じものなんだよ。」


「いいじゃん別に!なんとなく同じもの食べたかったの。」


「そういうもんか。」


「そういうもんだよ。」


「まぁいいや、食べるか。」


「うん。」


お互いに箸を進める。


「そういえばもうすぐ期末テストだな。」


「そうだね。頑張らないと。」


俺も桜も成績が悪かったりはしない。桜に至っては中間では一位だった。


「お前のことだからまた一位なんだろ?」


「まぁそれはやってみないとわからないよ。」


「確かにそうだな。」


って言いながらこいつは一位を取る。中学の時からそうだった。途中からすごい成績が伸びて今ではトップだ。


「桜も空も、俺の周りには勉強のできるやつばかりだ。」


「たしかに風見くんもすごいよね。まぁどうでもいいけど。」


「桜と空って仲悪いのか?」


「仲悪くはないよ。ただたまにすごい冷やかしてくるから!」


「冷やかす?大変だな。」


「他人事みたいに…」


「いや他人事だろ。」


「でも雪人と風見くん。中学の時からだけどほんと仲いいよね。」


「まぁな。」


「あの時はすごかったよね。雪人が狼を手なずけたって騒がれてたもんね。」


実は空は中学生の時はやんちゃだったのだ。


「シンプルに仲良くなっただけだよ。」


「でも雪人と話すようになってからじゃない?まじめになったの。」


「俺は何もしてない。あいつのなかで勝手に何かが変わったんだろ。」


「どうだか。」


桜はそう言って、一口食べ、飲み込む。


「雪人は周りの人を無自覚に変えるんだよ。良い方向にね。」


「そうなのか。」


「そう。そしてその人は救われたって思うの。」


「救ったことなんてないけどな。」


「だから私以外の女の子には変に深く関わっちゃだめだよ。」


「なんだそれ。」


そう言ってお互い箸を進める。


「さて、食べ終わったことだし次行こうか!」


「次はどこ行くんだ?」


桜はにやりと笑った。


「私についてきて。」


言われていった先はなんと、、


「ここって、、、」


「雪人が私の水着選んで?」


女性服の店の五倍くらい入りづらいんだが、、、


「いやここはさすがにだめじゃないか。」


「だめ?」


上目遣いで聞いてくる。こいつ、いつの間にこんな技を習得したんだ。

だが耐える。


「いやもうほんとに勘弁してください。」


「むぅ~。」


「頼みますここだけは。他に何でも言うこと聞きますんで。」


「そこまで言うならまぁいっか。服も選んでくれたし。」


やけに引くの早いな。こいつもしかしてこうなることわかってたのか?


「じゃあ帰ろっか!」


「お、おう。まだ時間あるけどいいのか?」


まだ昼飯食べたばかりだ。


「帰るって雪人の家にだよ??」


「え?俺の家?なんで?」


「だってなんでも言うこと聞いてくれるんでしょ?」


うわぁ。言ってはいけないことを言ってしまった気がする。

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