僕の証明
Enemy
はじまり
僕はとある自然に囲まれた小さな町に産まれました。特にこれといって特徴はない長閑な町。
そこで祖父と祖母、両親と姉と僕の6人暮らしでした。
覚えているのはまだ僕が幼稚園児だった頃からでしょうか。
当時の僕は落ち着きがなく、走り回ったり友達たちとお喋りしたりしてはよく先生に怒られていた。
同じ組の女の子からラブレターなんか貰ったりしていたのを思い出す。
何不自由なく暮らしていた僕。そんな僕の日常が狂い始めたのは、小学校へ上がったその最初の春の事でした。
その日の授業を終えた教室内は放課後の遊びの予定の事などの話題でざわついている。
担任の先生がやってきてHRを始めようとするが、子供たちは喋るのをなかなかやめないでいた。
例にこぼれず、僕もまた隣の席や前の席の友人とふざけあっていた。
頭を四方に揺らしたりして遊んでいた時、
僕は自身の異変に気がついた。
全身の左側に力が全く入らない。倒れかかる身体を元の体勢に戻そうとしても思うように動けないのだ。
ぐるりと視界が反転し、そのまま僕は床に倒れ込んでしまった。
周りの友達たちは、そんな僕を見て笑っていた。
傍から見れば、ふざけていて床に倒れてしまっただけ。
しかし不自然な体制のまま泣き続ける僕に、さすがにおかしいと思ったのか、担任に声をかける。
すぐに先生が僕の元に近寄ってきた。
「どこか痛い?説明できる?」
先生は少し困ったように僕に話しかける。
僕は必死になって、身体に力が入らない、なにか変だと訴えかけようとするが、言葉を話せない。
嗚咽混じりに泣きじゃくるだけの僕。
少しして、保健医の先生もやってきて、2人に担がれて僕は保健室に向かいました。
保健室にて、保健医の先生が僕に向かって、指を見せて本数を答えられるか、喋れるかと確認をとる。
過呼吸のような状態でハカハカと小刻みに呼吸する僕。
相手が言っていることは理解出来ていました。
喋ろうにも声が出せない怖さ、突然無くなってしまった左半身の感覚。
僕はパニックになり泣いたまま。
その場にいた誰もが対処出来ません。
十数分後、職場から急いで帰ってきた母親と救急車の到着で、僕は病院へ搬送されました。
僕の証明 Enemy @Kahuka023
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