第2話 それは突然だった

萩原とは一年の頃に同じクラスだった。新陸合宿で、萩原と同じ部屋でよく話すようになった。萩原はどちらかと言うとクラスではうるさい方で、俺は大人しめな方。萩原は広く浅く人脈を作るタイプだった。どういうわけかこいつのせいで俺はいじられタイプになるようになった。正直疲れるし、嫌だった。でも今更キャラは変えられないし、耐えるしかなかった。そのような憎しみは三年になっても消えずにあった。


萩原はいつも通りに屋上で羽目を外し始めた。

すると萩原はいつも通り柵を超えたら、思わぬ行動に出た。なんとビルの端で懸垂を始めたのだ。当然手を滑らしたら真っ逆さまに10階から転落死である。すると萩原は「こっちに来いよ。お前ビビリだからできねえだろ?w」と煽ってきた。その瞬間、俺は憎しみを晴らすのはこの瞬間しかないと悟り、気づいたら萩原の指を足でゆっくりと踏んでいた。萩原は死を悟ったのか「ちょっ!お前ふざけ!」といった時には手を滑らせ転落していった。あの恐怖に怯える表情は永遠に忘れられないだろう。するとすぐさまパーン!と肉の塊を高所から落としたような音が聞こえた。奴は間違いなく死んだ。高さと重力加速度の速さからまず助かるのは不可能。そして、この現場にいるのは俺以外に誰もいない。しかしある程度のアリバイは作らねばならない。どう言い訳しようか。すぐさま教室がある階にもどり階段のところでスリル満点の脈拍の速さを感じた。俺は屋上には行かず、彼だけ屋上に行ったことにしておこう。即座にそう言い訳しようと判断した。何事もなかったように俺は教室に戻り自習を始めた。すると、5分後には通行人が転落で死亡した萩原を発見し、警察に通報したようで講師が教室に駆け込んできた。すると萩原について何か知らないかと皆に聞いてまわった。俺は予定通り考えておいた言い訳通りに、一緒に教室を出たが萩原だけが屋上に行ったと嘘をついた。するとすぐに警察に事情聴取を受け嘘で固めた完全なアリバイと言い訳を淡々と語った。その日は塾内がパニック状態になり、もはや授業にならないと塾側が判断したのか生徒全員は家に帰るように言われた。帰る時、塾を出たら奴が転落死した現場はビニールシートで囲われて野次馬とマスコミだらけであった。それを横目に、にわかにほくそ笑みながら俺は駅に向かった。その後は何度か警察署に呼び出しをくらったが、とくに疑われることもなく冬季講習を終えた。俺は疑われるのではないかという恐怖から逃れるために勉強に今まで以上に集中し、模試でE判定で周りからも受かるはずないと思われていたKO高校に奇跡的に合格した。当時の記憶力は人生で一番記憶力が良く、英単語は今は3回みても覚えられないのに、当時は一回見て覚えられた。恐怖から逃れるために集中することがこれほどまでに勉強に効果があることに気付けたのは皮肉にもこの事件のおかげであった。中学には萩原を失ったことで精神的にショックを受けたと嘘の言い訳して卒業式さえも行かなかった。


無事に高校に進学後、警察からあの件は事故死として処理されたと聞いて安堵した。その後普通に高校を卒業し、附属大学であるKO大学の法学部に進学した。法学部を選んだ理由はあの件を再び再調査され事実がバレた場合、自己弁護を少しでも有利に進めるために法律の知識を少しでも多く得ねばならないと考えたためであった。その後、大学で勉強を重ねていくにつれて控訴時効たるものが存在すると知り安心して大学生活を楽しんだ。大学生の俺にもやがてゼミで知り合ったかわいく巨乳色白美人な彼女ができてセックスを毎晩するようになった。あの件について全く罪悪感はなかったが、あの件の事実を一人で墓場まで持っていくのは少し荷が重かったのと、なんとなく彼女に話したくなったので、セックスをいつも通り終えて、ベッドで裸で彼女と抱き合っている時に「俺…人を殺したことがあるんだ…」とあの件の全てを嘘偽りなく正直に語った。全てを語り終えた後、彼女は美しく柔らかい乳房を俺に当てて「そう…」と言い、優しく俺にキスをした。


おわり


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とある昔話 アメスピメンソール @amespi2021

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