とある昔話

アメスピメンソール

第1話 Once upon a time… Not long ago…

当時、高校受験直前で冬季講習を受講していた時のこと、12月か1月のことだったと思う。俺は中学の同級生の萩原と東京の某副都心駅前の進学塾に通っていた。当時、萩原はM大の附属高を目指していて、俺はKOの附属高を目指していた。その進学塾はかなり厳しいことで有名で夏期講習の時期でさえ授業が始まるのが夜七時からなのにも関わらず朝8時に集合して授業が始まるまで教室で自習を強制されていた。授業が終わるのが夜10時なので、事実上14時間も塾に拘束されることになる。当然直前期である冬季講習もそれは同じであった。所詮は中学三年生、14時間も塾の中に拘束されるなど精神的に堪える。外に出たくなるのだ。しかし、外に出たいにも講師が逃げないように門番をしているので、出れない。となると、屋上に行くしかない。萩原はじめ当時の塾の知り合いの生徒と、屋上に行こうという話になり、門番の目をかいくぐって屋上への階段へと向かい屋上にたどり着いた。何時間ぶりの外の空気だろうか、生き帰った感覚と自由になれた感覚が交錯してそれぞれは羽目を外し始めた。当時の塾はたしか10階建だったと思う。10階の屋上の柵を越え、ビルの端を走り出すものもいた。とまあ、毎日そのようにして気晴らしをしていたわけだが、受験本番が近くなるので皆勉強に真剣になり始めてだんだん屋上に行くメンツも少なくなっていった。するとある日萩原と二人で屋上に行こうという話になり屋上に向かった。

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