想像世界

Bon

第1話 異世界からの招待状

私は、人類が少なからず崇拝している神について考えていた。その時ある仮説を思いついた。我々の世界は、誰かに創造されたものではないのだろうか。存在有無を確認できない神を崇め、頼り、平和を祈る我らは、何故そんなことをする必要があるのだろうか。我々がするべきことは、生命として生き残ることではないのだろうか。その生き残るためであるとしてもおかしいと疑問に思ったこともあるはずだ。なぜならば、神に教えを乞うても、救いを求めても、その結果が目に見えたり、神の声が聞こえたりしただろうか。私は、少なからずしなかった。だから、私は、こう考えた。我々の世界を創造した者がいる。その創造者を我々は神と称えているのではないかと。もし、そうならば何故創造したのか聞いてみたいものだ。まぁ、この考え自体が妄想であり想像だから、確認しようが無い。我らは、それでも、生きる意味を模索しながら、人生を歩む他ないのであろう。そう思っていた矢先、一通の手紙が届いた。見た目は、普通の手紙だった。手紙の中身はこう書いてあった。

"君の仮説は、仮説ではなく本当のことだ。この世界で、この仮説を立てたのは君が初めてだ。そんな君と話がしてみたい。君を我ら創造者の世界へ、招待したく手紙を書いた。君が知りたいことは大概知り得ることが出来るだろう。来てくれるのであれば、その場で、招待を受けると言ってくれればいい。それでは、会えるのを楽しみにしている。"

驚きで、しばらく動けなかった。一旦気持ちを落ち着かせるために私は、夕食をとった。そして、再び手紙を読んだ。手紙には、宛名は書いてあったが、送り主は創造者としか書いていなかった。郵便局の印もなく、直接ポストに入れたのであろうと推察した。普通ならばイタズラだと思うだろう。実際に私も思った。いくら、私の仮説を、小説家を目指すものが書き込みできるサイトで書きこんでいても、私だとわかるものはいない。実名も住所も出していないからだ。そうなると、この手紙と送り主である創造者は、本物であると仮定できる。だから、私は、望みをかけ手紙に書いてあるとおりにした。

「創造者様、招待をお受けさせていただきます。」

そう言って、ごく普通に瞬きをした。その瞬きの間に世界は変わっていた。私は、先程まで自室にいたにもかかわらず、今目の前に広がる光景は、7、8人掛けくらいの会議用のテーブルだと思われるものに、人間と思わしきものが5、6人いた。何が起きたのだろうか。頭の回転が追いつかなかった。テーブルに、座っているものたちはこちらを見ていた。そんな中でも、リーダー席、お誕生日席とも言われるが、そこに座っているものが口を開いた。

「やぁ、招待に答えてくれて感謝するよ。僕が、手紙を出した創造者だよ。まぁ、正確に言うと、ここにいるみんなが、創造者なんだけどね。さて、まずは、今の君の率直な気持ちを聞きたい。どうだい我ら創造者の世界に来た気持ちを、ぜひ、教えてくれ!」

そう、嬉しそうに創造者は発言した。教えてくれと言っても、周りを見回すと我々の世界とさほど変わりない感じの会議室だった。この驚きの中、違いを見つけることは難しい。だから、私はこう答えた。

「一瞬のこと過ぎて、ここが、本当に創造者様の世界なのか疑い深いですね、ですが、お招きいただいたことには、感謝申し上げます。」

一礼も継ぎ足した。私の生まれ育った国、日本の礼儀であるからだ。それを見て創造者は、返事を返した。

「そうか、まだ、この世界について、詳しく話してないからね。実感もしにくいだろう。その礼儀正しさは、まさしく日本人だね。ならば、これを見れば異世界に来たことを実感できるかな。」

そう言うと、彼は、四角いボックスを持って私の近くによってきた。その中身を見せてきた。驚くことにそこには、見慣れた地球があり太陽、土星、木星など惑星が、見ることが出来た、理科の教科書のようだった。このボックスの中にあるのは私がよく知っている宇宙だった。私が言葉を失っていると創造者が説明しだした。

「君は、わかっていると思うが、これは、君がよく知る宇宙だ。そして、君が存在していた地球、それを照らす太陽、君たち人類が調査したいと思っている火星などもあるよね。これは、創造ボックスと言って、僕達はこれを使い君たちを作り出した。まぁ、元になるものしか作ってないけどね。どう、これで少しは実感できたかな?」

私は、頷いた。こんなものを見せられて納得しないものはあまりいないだろう。私は、本当に異世界へと招待されてしまったのだ。

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想像世界 Bon @Ryuu-0296

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