主人公いわく不快感の無い世界であり、それを示す表現が随所にみられるため、読者もまた、初めて見る世界にゆっくりと穏やかに接してゆく。静けさと共に、読者に対しても内省へと導いてゆく。いっさいが自由意志によって進み、その内省もまた、自由意志であることに気づかされる時、本作の世界観に真実味が帯びてゆく。