第30話 今・これから

このようにして 私達3人の共同生活がはじまった。


食事や家事 そういう日常生活で使われるあらゆる素材・手法が

神様たちの好奇心をかきたて、

彼らがネットを駆使して この世への理解を拡げ深めるきっかけとなった。


一方 私はと言えば アルプスの牧羊犬を飼いたい♡と言って

結局 コリーによく似たシェットランド・シープドックを買ってもらった。


この犬は あるスコットランド人が連れてきたまま放置して帰ろうとしたのを

フェンが買い取ったのである。


何でも母犬を愛玩していた飼い主さんが連れてきた母イヌが、こちらで出産したそうだ。

4匹生まれたうちの3匹は買い手を見つけたが、売れ残りのこの犬がじゃまになって置き去りにしようとしていたのをフェンが見つけたらしい。

 (それって ただのブリーダーによる脱法販売行為だったんじゃないの??)


神様たちは 現在ひきこもって ネット三昧だ。


私は 「コリン」と名付けたシェットランド・シープドックといっしょに ハイキングを楽しんでいる。小型コリーのコリン君♫


3日に一度は フェンとアスランのどちらかに付き合ってくれるように頼んでいるのだが なかなかうんと言ってくれない。

 それでも 私が 毎回違う男性と一緒に連れ立って帰ってくるのを見て

 とうとう フェンが私の付き添いで 山登りに付き合ってくれることになった。


私が男性を誘っているのではなく 男達が次々と声をかけてくるのだ。

それをいちいち断るのがめんどうなので その日に出会った男達のうち 感じのよかった最初の男を虫よけにしているのだと説明したら フェンが重い腰を上げた。


アスランに言わせると 私とフェンに共通の趣味ができれば、それだけ検索ネタが増えるから好都合なんだと。


まったく 人をインデックスがわりに使ってやがる。おっと失礼。下品でごめん。



私としては神様が素晴らしい肉体を用意してくれたので ロッククライミングも山歩きも難なくこなせてラッキー♡♫♡である。


今の状況を楽しみつつも 「神様にとっての時は巻き戻せない」という言葉と

いずれは私と子供達とが合流できるという約束との整合性に首をひねっている。


ただ 私がその問題について考えだすと フェンが凄く困ったまなざしを向けてくるのが落ち着かず・・・

 まんまと神様の術中にはまってしまった? と思うと

今度はアスランが悲しそうな顔をするし


先日、私の夢の中に入ってきたお二人と散々議論した結果が今なので

 しばらく状況に身を任せて過ごしている


ウーン流されやすい私の性格に 付け込まれたか?

でもまあ 最後には きちんと帳尻をあわせてくれるのだろう。


とにかく あの二人が 本気で この世界の様々な仕組みを知ろうと必死なのだけは

はたから見ていてもわかる。


彼らが一般常識を学び終えたら 3人でオックスフォードやソルボンヌ大学に潜り込む予定だ。

そして どこかの最先端医療部門を見学したのち

ケンブリッジとスタンフォードで学んで彼らの学習は終了する予定。


とにかく 勉強熱心な人達は嫌いじゃない。

しかも 彼らは自分達が得た知識を私も利用できるように公開してくれているから

彼らと共に 私も学業三昧ざんまいに励むことができるのは かなりの幸運だと思う。


とにかく 神様たちの情報吸収力はすごい! 速い!

 しかもフェンとアスランの二人が手分けして吸収した情報を 私にも共有しているから・・

それらを理解するために 私もかなり集中して勉強している。

もちろんごく一部の領域だけに絞ってだけど。

(アスランたちは神様だからすべてを網羅的に理解してらっしゃる。

 私は人間だから 私が興味を持ったごく一部の分野だけ。限られた量しか学べないけど、それでも学習し放題というのは 私にとっては夢のようなぜいたく・何よりもありがたくうれしい特典だ)


たぶん彼らは 私のアウトドア体験も共有するのだろうな。

 「もちろん! 僕が同行した分は 僕を通して アスランも共有するよ」フェン


「つまり 私が一人の時の情報の共有は意識的に避けているの?」


「当然。そういう約束だったろう。プライバシーは守るって」フェン


「約束を守るあなたの姿勢は素晴らしいけど

 無理な約束をして無理を通そうとするのは もうやめてね。」


「それも すでに約束ずみだから あれ以来無理な約束はしていない」アスラン&フェン


「だったら 二人で一緒にモンブラン登頂を目指すのは?」


「それは実現可能なチャレンジだよ。

 その為に現在情報収集中。

 一緒にトレーニングもがんばろうね」フェン



これが今の私の生活である。


転がるボールを追いかけて始まったこの話はこれで お・し・ま・い


 今もまだ 転がり続けている真っ最中


いつか 流転の人生が終わったら また 報告することがあるかもしれない。


                完


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てんてん転移 木苺 @kiitigo

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