第29話 新生活

次に目覚めたときには おとぎ話か映画の世界か?というような スイスの別荘だった。


目の前にモンブラン(写真で有名な特徴ある山の形)が見えるから

たぶんここは スイスなのだろう?


それともドイツ?フランス?


シャモニーはモンブランが見えるフランスとイタリアの国境地帯だったっけ?

なら スイスじゃなくて フランスかイタリア?


「シャモニーは フランス東部に属するらしいぞ。

 ネット情報によると」

アスランの声がした。


「で ココはバーチャル空間?」


「いや シャモニーにある長期滞在型別荘だ。

 観光写真がきれいだったから 当座の拠点をここに置くことに決めた」アスラン&フェン


「私 フランス語 しゃべれない

 コモタリブー。 エクテ シモ プレ あたりで挫折した。」


「いや 今 私達は フランス語で会話してるぞ」フェン


「うそ!」


「神様嘘つかない」フェン


「どんだけ古い番組を見たのよ。 しかもそれ この姿でクリスチャン圏で言うと深刻なトラブルになりかねない」


「ごめん ごめん」今度は明らかに日本語でフェンが答えた。


ということは? 「bon jour (おはよう)」確かに フランス語ですね

おはようと言おうとしたら ボンジュールが出てきた\(◎o◎)/!


「朝食は クロワッサンとパゲット どっちにする?」フェン


「今の気分は パゲットの上にレタスやハム・チーズをのせたオープンサンド」


あわてて パソコンを検索しようよするフェンを制して、キッチンに連れて行ってもらった。


大型の冷蔵庫の中には 食材がぎっしり。


まるで スーパーの食品売り場のよう


「実は そうなんだ。スーパーにあったものすべてを購入した。

 なにをどう使うのかわからなかったから」アスラン


「野暮なこと聞くけど その資金は?」


「そこは 信頼して任せてくれ

 不正はしていない。トラブルがごめんなのは私達もだ」フェン


「あとから督促状着たりしたら嫌よ。

 クレジットカードのご利用は計画的に」


「あのなあ 神様暦が長いのだから 現世の通貨もたっぷり持っているのだ。」アスラン


「それって 『私が知る必要のないこと』に分類されている領域?」


「その方がありがたい」アスラン


「なるほど」というわけで 私は朝食作りに意識を振り向けた。



「あなたたち 朝ごはんは?」


「まだだ」


「では」


とりあえず コーヒーメーカーをセット


アスランに、オレンジを手絞りでジュースにしてもらっている間に

フェンには パゲットの切り方を説明して作業をお願いする。


そして私は 冷蔵庫から生ハムとレモン レタスとトマトを出した。


・生ハムのレモン果汁あえ+レタス&輪切りのトマト


・レタス・生ハム・チーズ&ピーナッツバター添え


・バター&レタス・生ハムにレモン果汁と胡椒を振りかけたもの

  コショウは 黒コショウとピンクペッパー2種類を用意した


同じ食材を組み合わせた3種類のオープンサラダを用意した。

 基本食材が同じところが 家庭風だ。


「せっかくだからスープもつけよう」そう言ってアスランが 缶詰やレトルトパックに入ったスープ類が並んでいる棚の前に私を引っ張っていった。


「今朝のメニューに合いそうなものを選んでくれ」


うーん 想定外だったので とりあえず無難そうな「えんどうのポタージュ(グリーンポタージュ)」を選んだ。


これなら 男性陣のお腹を満たしつつ 生ハムサンドの風味を濁すことも無かろう。

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