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      ニュース・ステラ

        FFC放送


       FFCアナウンサー 山口 紘平こうへい



(音楽もなく、アナウンサーのおじぎではじまる)

 おはようございます。五時のニュースをお送りいたします。


 梅の見頃を迎えてから数か月が経った福岡県太宰府市の太宰府天満宮では、多くの受験生だった過去を持つ参拝客が昨日も訪れ、参道では、頑張る受験生の保護者へ向けたメッセージ「思い詰めずに弁当詰めて」が書かれた梅ヶ枝餅うめがえもちが、130円で配られる予定となっています。

 参拝客の一人は、「梅ヶ枝餅は有名、みんな購入したい気持ちがあるのではないか?」と話していました。


 また「厕所ツースォ」との表示もある境内けいだいのトイレには中国人が行列を作り、中国語と韓国語がしきりに飛び交う参道で、一般の日本人客が奇蹟の再会を果たす場面もありました。田川市在住の浅倉さんと朝倉郡在住の田川さんは中学の同級生で、現在ではお互いどこに住んでいるかも知らなかったということですが、学問の神様の粋なはからいにより八年ぶりに会い、言葉を交わしたそうです。二人はその後同じ店で食べ歩き用の梅ヶ枝餅を購入し、実際は食べずに思い出話に花を咲かせたそうで、そのまま参拝することなく「だざいふ遊園地」へ去っていく姿が目撃されています。


 一方、同じ太宰府市にあります九州国立博物館では、「太鼓の昔展」が開催されています。その隣で無料開放されている久留米市出身の工芸作家、キャンディー津島さんの「茶色の魔法瓶展」も、天満宮から流れてくる多くの客足を捉え、人気を博しています。「茶色の魔法瓶展」は、「タイ◯ーもサー◯スも売り切れているのなら印象派象印にセザンヌを得ない」と題した催し「茶色の保温ジャー展」以来実に二年ぶりに開催される展示即売会で、津島さんの個性豊かな「茶色の芸術」の日常へのアプローチに、訪れた客はときおり呼吸をし、まばたきをしながら見入っていました。


 津島さんの談話。

「私が茶色の作品に魅せられてから、もう四半世紀が経つでしょうか。おかげ様で、どこの展示会でもご好評いただいています。茶色というのは大地──私たちが常に足をつけているこの大地の色です。人間を拒むものではないということで、美術大学時代に人に拒まれてきた作風への裏返しのような、そんな気持ちの表れですね。この色のおかげで、ぱっと見、素焼きの壺が並んでいるのかと思われる方もおられるようですが、それならそれで構わない、という感じですよ。私はそのような未知の芸術に対する我々の脳の緩衝材的役割を拒む者ではありません。ええ、私の知り合いの女性なんか、私の保温ポットを玄関に飾っているらしいですから。ほんと、梅擬うめもどきとか活けちゃってくれてもいいくらいなんです。やっちゃってくださいよ、ぜひに。まずはご購入から、って感じですかね──」



 続いてはお天気情報、五十嵐さん、お願いします。



 天気予報士 五十嵐新志あらし


 はい、現在の太宰府市の天気は晴れ、天満宮を中心にかなりの広範囲に亘って晴れる予報です。午後から次第に曇りマーク、土曜日曜は駐車場から参道にかけて雨がちらつくところもありますが、参拝に際して傘の心配はないでしょう。


 太宰府市には海がなく、波はありません。洗濯は今日のうちに済ませれば土日が楽でしょう。注意報、警報は今のところ太宰府市には出ておりません。


 その他の地域の天気はこちらです。


 太宰府市東部(筑紫野方面) 晴れのち曇り

 太宰府市西部(春日方面) 晴れのち曇り


 福岡 

 八幡 

 行橋 

 飯塚 

 久留米 各地だいたい晴れ


 ・交通情報 

 現在、太宰府市内で渋滞している道路はありません。事故の情報も入ってきておりません。各地の交通情報をご確認の上、太宰府市にお越しの際はくれぐれも安全な運転を心がけてください。


 ・梅の開花予報

 来年の春には太宰府市の各所で見頃を迎えます。


 ・今日の道真みちざね公の歌

 海ならずたたへる水の底までにきよき心は月ぞてらさむ (菅原道真)


 今日も清い心で、一日を過ごしましょう。



                            ──終──

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