働きたくない男

灰田 青

第1話

「先生、僕はどうしても働きたくないんです。」

カウンセリングに訪れた男は、第一声からそんなことを言った。

「毎日つまらない服を着て、見るべき景色もない電車に乗り、あってもなくても大差ないような仕事をする。そんなのって、楽しくないですよ。」

人生の無駄です、と男は言い切った。


「全くもって、そのとおりだ。」

私は男を部屋に残して家に帰ると、パスポートと全財産を持ち、シンガポールに旅立った。

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働きたくない男 灰田 青 @kai-bgm

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