エピローグ
体育祭が終わってから一か月が経過した。
初夏ということもあり、最近は段々と暖かくなってきた事を身にしみる毎日。
そんな平日の朝、俺はいつものように自宅で朝ご飯を食べていた。
コーヒーを飲みながらバターといちごジャムを付けた食パンを虚ろな目をしながら口にいれる。くだらない朝の日常風景である。
そんな繰り返される毎日にも以前までとは違う光景が一つだけ見られた。
それが俺の隣に居る七宮の姿である。
「でねー、昨日また放課後にまゆしぃが告白されたんだよ。これで今月三回目だよ。凄いと思わない?」
制服を身に纏った七宮がそんな事を口にした。
どうして朝から彼女が俺の家に居るのかというと、ここ数日暇とかいう理由で学校が始まる前の朝から俺の家に居座っているのである。
まぁ元々家から数分歩いたところに彼女の家があるので、距離的には問題ないのだろうが、良くもまぁ朝から他人の家に舞い込むバイタリティーが余っているというものだ。
俺なんて苦手な朝は起きるだけで精一杯故に、今もこうして藤原先輩が用意してくれた朝ご飯を何とか食べているのだ。因みに彼女は恐らく洗面所で身支度をしている。
「まぁクラスでも男子から天使扱いされているしな。でも黒崎は誰とも付き合う気ないんだろ?」
「うーん、あたしもそれについて聞いてみたんだけど全然教えてくれないんだよね。あたし的には水沢君とかお似合いと思うんだけど」
「ほーん、やっぱりお前もそう思うんだ」
「まさかハル君も同じことを思っていたって事? 恋愛とか疎い癖に意外だし」
「うるせーな。俺の趣味の一つである人間観察能力を舐めるなっつーの」
「何それ、暗そう。後、陰湿な趣味だね」
「ほっとけよ」
俺たちがそんな適当なやり取りをしていると、部屋の奥から藤原先輩が姿を現した。
「ほーら二人共、そろそろ家を出ないと学校に遅刻しちゃうわ」
「ホントだ、もうこんな時間だし!」
「そろそろ俺らも行くか」
俺は残り一口の食パンを食べ終えてからスクールバックを持って行く準備をする。
それから先に家を出た二人を追うようにして俺は家を出た。
家の扉を閉めて、サッと鍵も閉める。
すると下から七宮が声を掛けてくる。隣には藤原先輩もいた。
「立花君急いで、時間がないわ」
「ハル君、早く早くー」
「分かったっつーの」
俺は返事をしてから、直ぐにアパートの階段を降りることにした。
その最中である、やけに眩しい太陽が俺を照らしてきたのでふと上を見上げる。
そこには何処までも続く空が広がっていた。
俺はその景色を見てふと笑みを零してしまった。
そうか、これが————『青の色』か。
なんてそんな柄でもない事を俺は思ってしまったのだ。
それはきっとボッチとか孤高を貫いて見える景色とは、また違うものだろう。
一度は孤高を貫こうと決めた俺だが、いつの日にかそんな信念すらもどっかの誰かに捻じ曲げ、変えられるのかもしれない。まぁその時が来たらまた考えればいいか。
つーかこうして二人の女の子が俺を待っている時点で非日常みたいなものだ。
俺は既に孤高とは程遠い道に進んでしまっているのかもしれない。
でもまぁそれも悪くない気がしているのも事実だった。
と、そんなどうでもいい思考をしながら、俺は二人の元へ一歩踏み出した。
————今日もまた、俺と彼女達の日常が始まるらしい。
FIN
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
これにてひとまず完結です。
物語的には孤高を貫こうとする主人公が二人のヒロインを通じてまた周りと関わっていくのを少しだけ受け入れ始める、そんな成長のお話でした。
かなりハイペースな投稿になり作者的にも結構つらかったのですが、途中で☆やらコメントをくださった方のお陰で何とか完結出来ました、非常に感謝しています。
今現在は他の新作ラブコメを執筆しているので、暫くの間は投稿しませんがいつか後日談を書くかもしれないので一応完結にはしないでおきます。
とそんな感じでいつもより長くなってしまったので、そろそろまとめます。
取り敢えず、まだ☆を付けてない方がいましたら是非ともよろしくお願い致します、面白かったとか、お疲れ様の意味を込めてでも何でもオーケーです。
また、ここが良かった、こんな展開が見たかったとか、なんて感想でも何でもお待ちしております。というわけで最後に、短い間でしたがありがとうございました!
ボッチの俺は学園の美少女と同居生活をする事になったせいで幼馴染に嫉妬される 九条君 @Akatukikunn
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