怨みを晴らしたい客の体に刺青を施し、この世で唯一の呪力でその思いを叶える彫り師、「闇屋」を中心としたお話です。怨みを晴らす、復讐と、話の筋はおどろおどろしいですが、闇屋を始めとする登場人物達が軽妙且つ色気があり、それぞれ芯を持って作り込まれていてとても魅力的です。個々のエピソードに登場する晴らしたい側、晴らされたい側の描写も丁寧で、刺青として宿る妖と人との関係も時に描かれ、心動かされるものがあります。復讐譚だけでは終わらない、心の多方面に響く作品だと思います。おすすめです!
ヒトよりも人情味に溢れる妖はどれも大変魅力的だ。その妖の力を借りて、耐えがたい苦痛に耐えて背中に彫り物をしてでも恨みを晴らしたいという人間は、同情できたり、できなかったり。恨まれる方も、完全な屑だったり、同情の余地があったり。復讐の結果も、すっきりハッピーエンドとはいかないが、最悪の境遇の中で一縷の望みが見えたり、見えなかったり。地獄に落ちても構わないので、私の恨みも晴らしてもらえないだろうか。