第20話 後期発行 ミッションは学内広報誌


そんなこんなで、後期の方がスムースに大本営チェック&学校チェックを迎えた。


 いや、取材やら、記事やらのネタはあるんだけど、それをここに書くと身バレするから。

 後期はね、取材が大変だったの。

 そういうことにしてください。

 本当にそれ以上でもそれ以下でもない。


 極力、依頼原稿を少なくして「自前で」まかなうことにしたのだ。当然、ベーダーがぶうぶうの、んもー!んもー!んもー! を発動したが、大本営&学校チェックから修正して印刷所発注までテンポよく3週間前という、本当に良い線をついてのチェック用原稿の提出だったから、彼女にはどうにもできない。

 第一、1月以降の学校行事でベーダーが望むような取材記事を出すというのは不可能に近い。

「取材に行ってるんですよね?」

 取材許可証は提出してあるし、取材もしてあるから代行できる原稿はあるが、記事を差し替えねばならないほどの決定的なミスはないし、第一ベーダーにそこまでの権限はない。


 ふふん、心の中の中指は秘めたる武器なのだ。


「こんなに写真掲載したら金額がー! んもー!」

 と、叫ぶベーダーの隣で、さらりと印刷会社氏が見積書を提出した。

「え?」

「コラージュしてあるんで、カウントは一枚カウントになる部分が多いですので、予算的にはオーバーしてないですよ。紙質も落としてないので、全く問題ないです」

 あ、印刷会社氏も中指同盟なのか。


 そういうわけで、正式発注となり、後期の学内広報誌が納入された。

 今回はインクのにおいを堪能できた。

 くんか、くんか、幸せ。


 どれどれ、仕上がりは…


「まさかーの、誤植はっけーん!」


 しかも、絶対に間違えられないトップページの「ごあいさつ」の中の、目を引く一文に誤植。


 メガトン級のショックである。


 その場にいた、椿会室在室者全員と印刷会社氏が絶叫したのは言うまでもない。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!」




 割合、シャレにならない誤植であった。





 間抜けな結末になったが、私たちらしくてよかったと思う。

 ジェニーさん、エクセルさん、ありがとうございました。

 援護射撃してくれた、数々の「スパイ」の皆様と、陰でゴニョゴニョとベーダーの動きを観察&リークしてくれ、時には猛獣使いになってくれたピアノさんと、胃薬片手にベーダーとの間に入ってくれた東抹茶さんに感謝です。


 そして最後に、一年間、PTAの仕事との両立に阿鼻叫喚する私を、黙ってじっとくすくす笑って観察してくれたわが夫、オジ・ハーンと、優秀なネタを随時提供してくれたムスメ・ハーンに感謝します。


 これにて、学内広報誌のミッションコンプリート。

 (結論、PTA界隈には、ネタがごろごろ転がっているオイシイ世界が広がっている)


以上


来年も役員やれって言われたけど、ソッコー断ったわよ。ふふん。

ネタはごろごろだけど、精神衛生上よろしくない。うん。

それから、最後まで悪役ベーダーちゃんだったベーダー女史に感謝を捧ぐ。あなたがいたから一年乗り切れたわ、ありがと。

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ミッションは学内広報誌 藤原 忍 @umimado1

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