今日この時間を大切に

Rod-ルーズ

第1話

ゲーセンにて


「ねぇ〜まだ終わらないの〜?」


「まだ、もう少し待って」


もうかれこれ1時間ほど柚は、目の前のクレーンゲームにて格闘していた。最初に始めた時より財布が痩せていっているのが今の状況を物語っている。


「あと少し。あと少しなのよ、、、ここでアームを下ろせば、、、」


彼女の名前は、椎名柚(しいなゆず)

同じ立鐘高校(りっしょう)の2年生だ。


「勉強より遊びの方が大事」 をモットーしている彼女だが、定期テストの点数は私と変わらない。何と腹立たしいことか。


そんな彼女は楽しいことが好きなのだが、特に好きなことがゲーセンなのだ。毎週学校が終わるたびにゲーセンに寄っては、こうお金を散財している。

「バイトをしてるから、大丈夫!」と言っていたけどホントに大丈夫なのだろうか。時々心配になる。


「そうゆう和ちんは何かやらないのー?いつも、私がプレイしている所しか見ないし、、、」


「いいの、私は。第一あんまりお金もないし。この前、イヤホン買ったから少し抑えないと」


和ちんと言われるが、私の名前は宮本和葉(みやもとかずは)

この椎名柚とは、小学校からの付き合いで腐れ縁というやつかもしれない。


「ふーん」


柚は、つまらなそうに返事をした。第一、私があまりゲーセンとかでお金を使わないのを覚えてないのか?


「、、、よし!スコア更新!んー、気持ち!」


私が物思いに耽っている間に、柚はハイスコアを叩き出していた。やっぱり、自分の好きなことをやっている時と嫌々やっている時の集中力の差は歴然だ。

 

時折、柚のそういった「物事に熱中できるほどの熱量」に羨ましさを覚える。彼女といると、私はそういった熱くなれるものが無い。彼女は、「やっていると楽しい。好きなことなんだ」と言うけど、飽き性な私は、始めてもすぐに飽きてしまう。


だからか、気づいたら何事にも少し冷めた目を持ってしまった。


「さてと、次は何をしよっかな〜」


そういって自分がやっていたゲームでハイスコアを出した為か、上機嫌で他のゲームを探しに行った。


(ホント、柚は一体どこからお金を生み出しているんだか、、、)


呆れながら、私は柚の跡を追っていると彼女はふと立ち止まった。

「ねぇ!和ちん、これやろーよ!」


そうゆう柚が立ち止まったのは、シューティングゲームの類のやつだった。

しかも、銃らしき物が2つ。2人でできるゲームなのだろうか。


「和ちん、ずーと見てるだけだしさ。たまには一緒にやってよ。楽しいよ?」


そう言われたら断れないじゃん、、、


「はいはい、いいよー」


そう言われて私は100円玉を柚より先に入れた

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